PR |
|
---|---|
PR |
あたたかき日光(ひかげ) ―光世日記より 作・田中綾
-
05/28 05:00あたたかき日光 第三章「ものまね夫と肩こり妻」3「お子さんはいつ?」 結婚後、周囲からは何気(なにげ)なく、あるいは当然のように、そんな言葉を掛けられた。互いに三十代後半での初婚であり、周囲としては、産むならば早めに、...続きを読む
-
05/21 09:16 更新あたたかき日光 第三章「ものまね夫と肩こり妻」2大きなクルミの木がある新婚の家で、綾子は慣れない家事にいそしんでいる。 「おいもさん、おいもさーん」 二人で暮らし始めると、食べ物の好みが次第にわかってくる。光世は、里...続きを読む
-
05/14 05:00あたたかき日光 第三章「ものまね夫と肩こり妻」1ベストセラー作家の妻と、それに伴走する夫――新婚当初は、そんな生活を送ることなど二人とも想像さえしていなかった。 一九五九年初夏。茜(あかね)さす夕方。光世と綾子...続きを読む
-
05/14 10:00 更新あたたかき日光 第二章「伴走者として」 3一九六七年は、営林局を退職した光世にとって、綾子のマネージャー元年となった。 仕事場は自宅二階。つねに綾子の傍(そば)にいて、トイレ以外はほぼ一緒の生活である。とはいえ...続きを読む
-
04/30 11:06あたたかき日光 第二章「伴走者として」 2一九六六年五月二十四日。結婚記念日も七回目となった。もう銅婚式である。綾子は、学芸会の子どものようにお辞儀をする。 「満七歳ね! 光世さん、いつもありがとう」 あたたかき...続きを読む
-
04/23 05:00あたたかき日光 第二章「伴走者として」 1受賞後の半年は突風のように過ぎ去った。 翌一九六五年。「主婦の友」から、『氷点』に続く長編小説の依頼が綾子に届いた。『氷点』の新聞連載も十一月まであり、まだまだ気が抜け...続きを読む
-
04/23 10:31 更新あたたかき日光 第一章「一千万円懸賞小説」 4『氷点』狂騒曲のような日々が始まった。詩人バイロンの「ある朝目覚めてみると、僕は有名になっていた」よろしく、「キサクな雑貨店の主婦」綾子の日常は大きく変化していった。 ...続きを読む
-
04/16 09:13 更新あたたかき日光 第一章「一千万円懸賞小説」 3一九六四年六月三十日。朝日新聞朝刊に、第二次選考を通過した十二人が発表された。 氷点(三浦綾子) 旭川市豊岡町二条一ノ三、四十二歳、旭川市立高女卒、主婦。 三時間の眠...続きを読む
-
04/09 11:12 更新あたたかき日光 第一章「一千万円懸賞小説」 2「眠れないし、肩こりもひどくなるし……。ミコさん、疲れているのにごめんなさいね」 二歳下の夫光世は、いつものように綾子の肩をもんでやる。そして、泰然とした声を発した。 「...続きを読む
-
04/02 09:48 更新あたたかき日光 第一章「一千万円懸賞小説」 1風が、ツルアジサイの白い装飾花を揺らしている。天を目指すように木の幹に巻きつくツルアジサイ。真っ白なその萼片(がくへん)に、水無月(みなづき)の陽光が降りそそいでいる。 ...続きを読む
連載・特集