ネットのトラブルに巻き込まれないために
小学生向けの啓発授業ルポ

 ネットに手軽にアクセスできるスマートフォンは便利なツール。普及とともに利用者の低年齢化が進んでおり、調べ物をしたりゲームや動画を楽しんだりと、普段から利用している子どもたちも多いことでしょう。ネットは世界を大きく広げてくれますが、没頭して生活リズムが崩れたり、悪口・仲間外れにされたりなどのいじめも心配です。子どもたちがトラブルに巻き込まれるのを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
 先日、札幌市内の小学校で、総合学習の時間を使って行われた啓発授業にお邪魔してきました。

取り消せないネットの書き込み

 講師は「e-ネットキャラバン」(注1)から派遣されたKDDI北海道総支社の浅見洋さん。3時間目に5年生、4時間目に6年生と、学年別に行われました。
 「ふざけて書いたとしても、一度載せてしまったものは消せません」
 「匿名だから何を書いても大丈夫と思っても、誰か分かってしまいます」
 浅見さんはスライドを使い、子どもたちの表情を見ながら話を進めていきます。

 流行する動画共有アプリ「TikTok」の話題になると、ぐっと身を乗り出す子どもたち。関心の高さが伝わってきました。
 「動画に小学校が写っていたら、どこの学校の子か分かるよね?」
 浅見さんは、自撮りした写真の背景や位置情報などから、撮影した個人が特定され、脅かされて裸の写真を撮影、送信させられたなどの被害が増えていることも紹介し、注意を促していました。

授業で取り上げたトラブルの事例

  • スマホの長時間使用
    →睡眠不足や生活習慣が乱れ、健康や学習に影響
  • ゲームに夢中になり高額課金
  • 無料通話アプリ内の会話で悪口や仲間外れ
  • 歩きスマホ、自転車に乗りながらスマホ操作で交通事故
  • 他人になりすまして誹謗中傷の投稿
  • 写真や動画の投稿から個人が特定
    →児童ポルノの強要やストーカー被害に
  • ネット詐欺
    →ワンクリック詐欺やウイルスなどによる不当請求
  • 音楽や動画の違法アップロードやダウンロード
  • 人が写っている写真を本人の許可なく投稿し炎上

 授業では短い動画も上映。内容は5年生向けには、友人同士でLINEグループを作っていたが、1人の女子生徒が、あるほかの女子生徒が「既読」後、なかなか返信しないことにキレて、悪口をネットに書き込んだところ、他のメンバーから反感を買い、LINEグループから全員退出してしまい、1人ぼっちになった例でした。
 また、6年生向けには、男子生徒が見知らぬ女子生徒の写真を勝手に撮り、ツイッターに匿名で発信したところ、誰が発信したのかと炎上し、男子生徒の個人情報や身元が明かされ、攻撃された事例でした。
 浅見さんは「軽い気持ちで書き込んだり、写真をアップしたとしても、大変な結果を招く場合があります」と注意を促していました。

 また、昨年、神奈川県座間市で、ネットを通して知り合った大学生ら9人が犠牲になった殺人事件を紹介し、浅見さんは「ネットで知り合った人には絶対、1人で会いに行かないで」「困ったときには周りの大人に相談すること」と強調していました。

注1e-ネットキャラバン

 子どもたちのインターネットの安全な利用を目的に、小中高校生、保護者・教職員等を対象とした無料の講座を、情報通信分野等の企業・団体と総務省・文部科学省が協力して全国で開催しています。道内では、総務省北海道総合通信局が窓口となって、e-ネットキャラバンの周知啓発活動、講師の派遣を行っており、昨年度は142回実施されています。

親子で実践!ネットトラブルを防ぐために

■家庭でスマホ利用のルールを決めて

 浅見さんは所属する企業のお仕事の傍ら、出前講座を年間約80件こなしています。子どもだけでなく、PTAにも招かれることも多く、保護者には「家庭内でよく話し合ってルールを決めてください」とお願いしているそう。
 ルールを守らせるためには、曖昧な表現ではなく「スマホはリビングだけで使う」「夜9時まで」など、はっきり分かる内容にすることと、子どもの成長や学年に合わせて定期的に内容を見直していくことがポイントだそうです。

■必ずフィルタリング設定を

 子どものスマホにフィルタリング(インターネット上のアクセス制限。未成年者を有害なサイトから守るサービス)を設定すると、違法サイトや有害情報にアクセスできないようにすることができます。浅見さんによれば、利用している子どもが被害に遭わない確率が高いことが調査データにも表れています。
 保護者の判断で、アクセス制限を解除したり、学齢別に制限レベルを変更することもできます。定期的に子どもと話し合って適切なアクセス環境を整えてあげることが大切です。

■トラブルに遭ったら…

 万が一、トラブルに巻き込まれてしまったら、子ども一人で解決することはできません。ネットトラブルの中でも匿名の人からの誹謗中傷など、保護者の判断で解決できそうにない事案は、弁護士に相談してみるのも一つの方法です。
 札幌弁護士会では道内各地に「法律相談センター」を開設しています。困った時にはまずは電話(011-251-7730)してみることをお勧めします。

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