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<みんなの相談室>【質問】遠足中、熱中症で倒れけが 学校の責任は

 30代主婦です。先日、小学3年生の息子が徒歩遠足に出かけたのですが、途中で気を失って転倒し、頭に大けがを負ってしまいました。当日の気温は30度を超えており、熱中症になったようです。学校側に責任はないのでしょうか。

【回答】注意義務違反で損害賠償も(弁護士・今井明日香さん)

 学校には、子どもたちの生命や身体の安全を守る義務があります。子どもが学校の活動中にけがなどした場合、学校側に注意義務違反があれば、損害賠償責任を負うことになります。

 遠足は学校の活動の一つです。熱中症はひどいときには命にかかわることもある危険な症状です。学校側は、遠足中の子どもの熱中症予防に努める義務があるといえます。

 過去の複数の裁判例では、部活動をしていて熱中症を発症した事案で、学校側の賠償責任を認めたものがあります。これらの裁判例では、《1》学校が熱中症の予防に必要な温度計を体育館に設置していなかった《2》当時の気温等を考慮すると、先生が熱中症の危険性を意識して部員を観察すべきであったのに、観察が不十分であった―などが、学校側の注意義務違反であるとされています。

 今回の相談は、息子さんが、気温30度を超える日の遠足中に熱中症になって大けがをしたとのことです。

 学校側が、遠足時の環境条件や小学3年生の体力に応じて休憩、水分補給、遠足の内容の変更や中止の判断を適切に行わなかった場合や、子どもを十分に観察していなかった場合、熱中症の危険性を把握するために「暑さ指数」などの情報収集を怠っていた場合には、学校側に損害賠償責任が認められる可能性があるでしょう。

 環境省と文部科学省が作成した「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」に、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」が掲載されています。それによると、気温が28~31度のときは熱中症に「警戒(積極的に休憩)」、31~35度は「厳重警戒(激しい運動は中止)」、35度以上は「運動は原則中止」とされています。

 こうした指針などを基に、学校ではさまざまな熱中症対策が進められています。ただ、子どもは具合が悪くなっても自分では気が付かなかったり、適切に対処できなかったりすることがあります。学校や家庭では、周りの大人が注意してあげることが必要です。

<略歴>いまい・あすか 1981年、神奈川県出身。子どものころ米国で暮らした経験があり、英語が堪能。学生時代に旅行した北海道が気に入り、民間企業勤務を経て2008年に北海道に移住。12年に札幌弁護士会に登録。


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