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<デジタル発>「もやし屋さん」消えていいのですか!? 「家計の味方」に押し寄せる危機

 皆さんは「もやし屋さん」がどんどん減っていることを知っていますか。1995年に全国で550軒以上あった生産業者は現在、100軒程度に減っています。家計のやりくりを助ける味方という意味で「価格の優等生」とも呼ばれてきたもやし。その生産現場にも「異常なレベル」と言われる円安による原材料費や光熱費の急上昇が襲っています。このままでは、食卓からもやしが消えてしまいかねない状態です。(報道センター 麻植文佳)

袋詰めされ、人の目で検品されるもやし(浜本道夫撮影)
袋詰めされ、人の目で検品されるもやし(浜本道夫撮影)


 札幌市から車で1時間弱。オシキリ食品(江別市)の石狩管内当別町にあるもやし生産工場を訪ねると、専務取締役の菅原康之さん(65)が中を案内してくれました。

 シャッターを開けてもらうと、光が一切入らない部屋に並んだ黒い容器にびっしりともやしが敷き詰められていました。成長中に光が当たると葉が生えてしまい、商品になりません。原料となる緑豆は70度ほどの湯で滅菌した後、7~9日間、この栽培室で育てます。

真っ暗な部屋でぐんぐん伸びるもやし
真っ暗な部屋でぐんぐん伸びるもやし


 コンピューターで制御し、決まった時間に20度ほどに温めた地下水を、天井から雨のように降らせて成長を促します。1本8~10センチほどに育つと、水で洗い、緑豆から生えた「ひげ根」を取って袋詰めします。工場は1日も休みなく、年間約6千トンのもやしを生産し、全量が北海道内で販売・消費されています。

 オシキリ食品では、中国産の緑豆を使っていましたが、輸入できず緑豆が手に入らなくなるリスクを減らそうと、4年前からウズベキスタン産も使っています。国産の緑豆はほとんどつくられておらず、輸入に頼らざるを得ないのが現状です。


 ただ、そこへ製造コストの大幅な上昇が襲いました。財務省の「貿易統計」によると、天候不順による不作や、緑豆より多くの収入が見込めるトウモロコシ、大豆への転作が進んでいる影響で、中国産緑豆の2021年の平均価格は2000年の約3倍にまで高騰しています。円安が加速した22年の輸入価格はさらに高値になる見通しです。


 オシキリ食品では、原材料費が50~60%上昇し、今年に入ってから加速した円安の影響で、夏以降は原材料費が約2倍に膨れあがる見通しといいます。ロシアによるウクライナ侵攻なども影響する世界的な原油価格の高騰や電気代の上昇で、もやしの成長に必要な水を温めるための燃料となる重油代は、2020年に比べて月約120万円、機械を動かすための電気代も約40万円、それぞれ上がり、全体の製造コストは15~20%も上がったといいます。


 もやし工場の従業員は約40人。専務の菅原さんは「実は利益がほとんど出ていません」と打ち明けます。利益を確保するため、生産過程の機械化を進め省力化してきましたが、「作れば作るほど赤字。原料、燃料、電気などあらゆるコストが上がり、企業努力だけでは、もうどうしようもない」。オシキリ食品は6月から卸先に値上げをお願いし、準備が整い次第、販売価格を上げていくそうです。菅原さんは苦しい胸の内を明かします。「21年後半から赤字が続き、会社がなくなる危機感すら感じています。赤字を埋めて道民に商品を供給する使命を果たすための最低限の値上げです」

勢いよく水がかけられる出荷直前のもやし
勢いよく水がかけられる出荷直前のもやし

■安いのは当たり前?

 もやしが「価格の優等生」と呼ばれるのは、長年、価格が安く、ほとんど変動しないためです。

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