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<デジタル発>コロナ“震源地”武漢 訪ねてみたら、壁とがれきになっていた

 国内で感染「第7波」が猛威を振るう新型コロナウイルス。世界で最初に集団感染が確認されたのは2019年12月、中国湖北省の武漢市でした。中国政府が「都市封鎖」(ロックダウン)に踏みきり、世界保健機関(WHO)がウイルスの起源解明のため調査に入るなど、世界の注目を集めましたが、その後、武漢の街はどうなっているのでしょうか。7月下旬に訪ねてみると、街の様子は一変していました。(北京駐在 古田夏也)

■高さ4メートル まるで城壁

 武漢の「華南海鮮卸売市場」。米国の研究チームは7月26日、この市場が新型コロナウイルスの起源であったとする研究成果を米科学誌「サイエンス」の電子版に発表しました。その場所を訪ねると、高さ約4メートルの青い壁にぐるりと囲まれています。まるで城壁です。

高い壁に囲まれた武漢の「華南海鮮卸売市場」。壁には武漢のポスターが貼られていました=7月23日
高い壁に囲まれた武漢の「華南海鮮卸売市場」。壁には武漢のポスターが貼られていました=7月23日



 武漢市(人口約1360万人)は、長江と漢江が合流する交通の要所で自動車や鉄鋼などの産業が集積した湖北省最大の都市。海鮮市場は武漢中心部の漢口駅から東へ約700メートルの高層ビルなどが立ち並ぶ一角にありました。5万平方メートルもの敷地に、鮮魚やエビ、カニなどの海産物だけでなく、食肉や野菜類などを扱う商店約千軒がひしめき合い、市民や業者がひっきりなしに出入りする文字通り「市民の台所」でした。

 ところが19年12月、市場関係者の間で原因不明のウイルス性肺炎患者が続出。その後、患者の1人から新型コロナウイルスが検出され、WHOに集団感染の最初の発生地として報告されました。

 壁の中の様子をうかがうと、片付けや整理などをしている人の姿がわずかに確認できるだけで、人の出入りはほとんどありません。かつて店舗だった建物の看板も白く塗りつぶされていました。壁には数メートルおきに武漢の観光名所を紹介するポスターが取り付けられ、建築現場のようにも見えます。

看板が白く塗りつぶされた市場の店舗だった建物。近くを走るスクーターと比べると、壁の高さが分かります
看板が白く塗りつぶされた市場の店舗だった建物。近くを走るスクーターと比べると、壁の高さが分かります


 中国政府は20年元日に市場を閉鎖。その3週間後の1月23日には市内の空港や鉄道、高速道路を閉鎖し、事実上の「都市封鎖状態」としました。しかし、封鎖したのは春節(旧正月)の大型連休期間中で、その前に約500万人が武漢を離れたとされ、国内外に感染が広がった要因とされています。北海道内で初めて感染が確認されたのも、武漢から道内旅行に来ていた女性でした。1月28日のことです。

 21年1月にはWHOの国際調査団が市場を訪れました。当初は市場で扱われていた野生動物が感染源とみられていましたが、調査でも詳しく分かりませんでした。

 中国メディアは21年4月、周辺の再開発に合わせて、市場も取り壊すと報道しました。ただ、工事に着手している様子はありません。市場周辺で掃除をしていた中年の女性は「確かに取り壊すとは聞いたけども、詳しくは分からない」と困惑した様子です。市場跡の建物を見上げてみると、窓に春節セールを知らせるような飾りが残っていました。店を慌てて閉めた名残かもしれません。

窓には「新春大吉」とかかれた、春節のセールを思わせる掲示がそのまま残っていました
窓には「新春大吉」とかかれた、春節のセールを思わせる掲示がそのまま残っていました

■居住区は、がれきの山

 市場から東に約500メートル。市場関係者が多く暮らしていたという住宅街を訪ねてみると、衝撃的な光景が広がっていました。

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