PR
PR

<市場発!>ホッケ 漁獲量回復も、手放しで喜べないワケ

 全道のホッケ漁獲量が回復基調にあります。2021年まで6年連続で前年を上回る水準になっており、22年も日本海側を中心に好調な漁獲が続いています。ホッケは十数年前に大きく水揚げが減り、価格が一時急騰していましたが、漁獲量が回復しているため、札幌市中央卸売市場の卸値は当時の半値以下に落ち着いてきています。しかし、一度離れた需要の戻りは鈍く、金額ベースでの市場規模はなかなか戻っていません。漁獲量の回復を手放しで喜べる、という状況ではないようです。

札幌市中央卸売市場に入荷したホッケ。日本海側を中心に漁獲は好調だ
札幌市中央卸売市場に入荷したホッケ。日本海側を中心に漁獲は好調だ


 7月26日早朝。卸売市場には、多くのホッケが発泡スチロールの箱に並べられ、集まっていました。6月から8月にかけて脂が乗り、旬を迎える日本海側のホッケの漁獲は今年も好調です。卸売業者である丸水札幌中央水産でホッケを担当する上田浩敏さんは「日本海側、特に後志地方から、昨年よりも多くのホッケが入荷しています」といいます。

 つい数年前まで、ホッケは漁獲量が極端に落ち込んでいる魚の代表格として、よくニュースでも取り上げられていました。

 北海道の漁獲量は2009年まで、ほぼ安定的に10万トンを超える水準で推移していました。しかし、2010年代になると急減し、2015年にはわずか1万7千トンまで減ってしまいます。


 漁獲量の減少とあわせて、価格は上昇します。北海道庁の資料によると、ホッケの漁獲金額を漁獲量で割った単価が最も高かった2015年は、その5年前の単価の5倍近くまで引き上がりました。

 私が学生時代を過ごした1990年代、割安な居酒屋チェーンの酒のつまみといえば、「ホッケの開き」でした。大きくて食べ応えがあるのに、割安でコスパ満点のため、学生がたくさん集まる飲み会では必須のアテでした。しかし、そんな大衆魚の姿はどこへやら。価格高騰によって居酒屋のメニューからは消え、スーパーマーケットで販売するホッケの開きもどんどんサイズが小さくなっていきました。

 この時期、ホッケの塩干を生産する加工業者の多くが北海道産のホッケから代替品にシフトしました。「開きの原料として道産ホッケが確保できなくなったため、より値段が安かった米国産のシマホッケなどの輸入品に切り替わってしまいました」(上田さん)

 近年、漁獲量は回復してきていますが、一度離れた需要はなかなか戻っていません。「ホッケの多くは開きなどの原料として出荷されます。しかし、受け皿となる需要が戻っていません。入荷が増えても需要が戻らず、結果として価格が維持できなくなっています」(上田さん)。小型サイズのホッケの中には、市場に出荷しても価格が維持できないため、飼料用のミールに加工されるものも出ています。


 単価が急落したため、ホッケの漁獲金額は伸びていません。2021年のホッケの漁獲量は全道で4万4千トンと、5年前と比べて2・5倍の漁獲量があったのですが、漁獲金額は3割近く少ない水準にとどまっているのです。

 ホッケの漁獲量の回復はうれしいことなのですが、需要が戻らない背景には私たちの食卓の変化もあるようです。加えて、専門家からは、戻ってきた資源の将来への不安の声も聞かれます。

■干物が売れない。生産量は10年で6割に

残り:2085文字 全文:3507文字
続きはログインするとお読みいただけます。

【関連記事】
<デジタル報道チームによる 市場発>一覧へ
<データ@ほっかいどう>一覧へ
⇒新鮮第一のトウモロコシ 北海道産はなぜこ~んなに甘い?
⇒マリオット・インターナショナル 道内で一挙3ホテル開業 スピード経営の極意とは?

北海道のニュースがメールで届く
PR
ページの先頭へ戻る