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消えた「四島返還」(96)改憲の波紋 暴挙、新憲法で正当化

 「ロシアの憲法に従い、軍は同胞を守るために作戦を開始した」。3月下旬、大統領プーチンと同じ旧ソ連の国家保安委員会(KGB)出身で最側近の安全保障会議書記パトルシェフは、会談した他国首脳に対し、ウクライナへの侵攻という暴挙はロシア憲法の要請に基づく必要な行動だったと強弁した。

 プーチンの提案からわずか半年余りで大幅な条文の見直しが行われ、2年前の7月4日に発効したロシアの改正憲法。北方領土問題との関係から「領土の割譲禁止」の条項が追加されたことや、プーチンの大統領5選が可能になったことが注目されてきたが、数多くの愛国主義的な条項も追加されていた。

 その一つが、パトルシェフが侵攻の根拠に挙げた第69条の「国外に居住する同胞の権利行使、利益保護の保障」だ。旧ソ連圏のロシア語を話す人々を念頭に置いており、プーチンが「大量虐殺」の犠牲になったと主張するウクライナ東部のロシア系住民も含まれる。

 「憲法は、ロシア領土の不可分性を損ねる行為を禁じている。日本の北方領土返還要求運動は侵略的な行為だ」。ロシア政府筋は、日本の対ロ制裁への対抗措置として、千島歯舞諸島居住者連盟の脇紀美夫理事長(81)=国後島出身=ら日本人63人を入国禁止とした理由をこう明かした。

 憲法という大義名分を振りかざし、暴論を押し通すロシア。北方領土問題解決を目指した安倍晋三政権の意思を砕くように行われた改憲の余波が今、世界に混乱を広げている。(敬称略)

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