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<デジタル発>「幻の魚」イトウ、激減する恐れ 道北・猿払で起きている異変

 環境省の絶滅危惧種に指定され、「幻の魚」と呼ばれる国内最大級の淡水魚イトウの激減が懸念されています。記録的な高温と少雨に見舞われた2021年夏、道北を流れる猿払川水系で酸欠死したイトウ50匹の死骸が確認され、今年もその傷痕が深く残されたままです。体長1メートルを超え、その姿に魅せられる釣り人も多いイトウ。その「聖地」に今、何が起きているのか、探りました。(旭川報道部写真課 西野正史、写真も)

猿払村の産卵場所で寄り添うイトウの雄(手前)と雌のペア=2022年4月下旬(魚眼レンズ使用)
猿払村の産卵場所で寄り添うイトウの雄(手前)と雌のペア=2022年4月下旬(魚眼レンズ使用)


 4月下旬の宗谷管内猿払村。深い森を縫うように流れる川で、体長約80センチのイトウのペアが産卵行動に入っていた。雌が尾びれで川底をたたいて産卵床を掘り、真っ赤な婚姻色の雄が巨体を震わせて産卵を促す。寄り添うペアに別の雄が近づくと、「バシャッ」と波立ち、雄同士がかみつき合った―。


 絶滅危惧種イトウの「聖地」と呼ばれる猿払村の猿払川水系。推定生息数は道内最多の千匹以上とされ、春と秋には毎年、全国各地から延べ約3千人の釣り人が訪れ、1メートル超の大物を狙う。河口近くに釣りざおが並ぶ様子は猿払の風物詩となっている。

産卵場所で寄り添うイトウの雄(上)と雌のペア=2022年4月下旬、猿払村(魚眼レンズ使用)
産卵場所で寄り添うイトウの雄(上)と雌のペア=2022年4月下旬、猿払村(魚眼レンズ使用)


 産卵床調査を2007年から続ける保護団体「猿払イトウの会」の川原満さん(52)は、今春の調査が気がかりだった。2021年夏、猿払川水系で酸欠死したイトウが大量に確認され、産卵への影響が心配されていたからだ。体長1メートル超の死骸が川底に沈み、腐臭が漂っていた。「今でもあのショックは忘れられない」


 2021年8月、川原さんは鬱蒼(うっそう)とした河畔林に囲まれた猿払川水系の中流域で水中に白骨化したイトウの頭部を見つけた。付近にはヒグマかキツネに食べられた後のイトウの背骨やあごが散乱。「調査歴15年で初めての光景」(川原さん)だった。

猿払村内の川に浮かぶイトウの死骸。酸欠死とみられる=2021年8月(猿払イトウの会提供)
猿払村内の川に浮かぶイトウの死骸。酸欠死とみられる=2021年8月(猿払イトウの会提供)


 原因はその夏の記録的な高温と少雨による「酸欠死」だったとみられている。

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