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<社説>NATO新戦略 衝突避ける外交が重要

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 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、行動指針である「戦略概念」を改定し、これまで戦略的パートナーとしてきたロシアを「最大の脅威」と位置付けた。

 中国については欧米の利益や安全保障に「挑戦」していると指摘した上で、中ロが戦略的な関係を深めて、国際秩序を損ねる試みを強めていると明記した。

 全加盟国はスウェーデンとフィンランドの加盟にも合意した。

 欧州の安全保障は歴史的な転換点を迎えたと言える。

 ウクライナを侵略するロシアや、覇権主義的な動きを強める中国に対抗するための戦略転換だが、世界各地で軍事的緊張を高めないよう注意が必要だ。

 軍事力は外交を補完するものである。NATO加盟国は軍事面に偏るのではなく、外交を機能させる努力が欠かせない。

 旧ソ連に対抗する米欧の軍事同盟だったNATOは、冷戦後の東方拡大を経て、再びロシアと対立することになった。活動範囲はインド太平洋にも広がる。

 首脳会議ではロシアによる有事を念頭に、東欧などの即応部隊を現行の4万人から30万人以上に拡大することも確認した。

 こうした動きにロシアは反発する。プーチン大統領は北欧への部隊展開や軍事インフラの配置には相応の措置を取ると警告した。

 バルト海に面する飛び地カリーニングラードには核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを既に配備した。

 対立のエスカレートは避けなければならない。

 NATOは自由や民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有する「価値の同盟」でもある。中ロを軸とする権威主義的なグループとの対立が深まれば「新冷戦」ともなりかねない。

 ロシアと中国に対抗する政策が、中ロの結束を強める結果を招いてはならない。むしろロシアの侵略を容認しない国際世論の側に、中国をとどめる努力が重要だ。

 NATOは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを首脳会議に初めて招いた。

 岸田文雄首相は中国を念頭に「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」などと訴えた。

 NATOは条約で、加盟国が攻撃を受けた場合、集団的自衛権を行使すると定める。

 日本は長年、集団的自衛権の行使は違憲だと位置付けてきた。岸田氏はNATOへの接近だけでなく、隣国として中国との対話を通じた独自外交にも努めるべきだ。

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