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<社説>2022参院選 新型コロナ対策 次への備え議論深めよ
新型コロナウイルス禍が日本を襲い2年半がたつ。国内ではイベントや旅行が再開し、日常を取り戻しつつあるように見える。
しかし、東京都などで新規感染者が増加に転じ、感染再拡大の懸念は消えない。深刻な後遺症の報告も相次いでいる。
参院選でも、コロナ対策が主要な争点の一つであることに変わりはない。
与野党は次の感染拡大に備えるだけでなく、新たな感染症も想定した対策に知恵を絞り、議論を深めてもらいたい。
コロナ感染による全国の自宅療養者は10万人近い高水準が依然続いている。この冬の流行第6波では入院できずに自宅で死亡するケースが相次いだ。
自民党は保健医療体制の強化を掲げる。これを受け、政府は病床数や患者の受け入れ条件について自治体と医療機関が事前に協定を結ぶ仕組みを法制化する方針だ。
日本維新の会も病床や医療従事者の確保に向け、医療機関に命令を出せる法律の制定を打ち出す。
国民民主党は民間病院に患者受け入れを指示できる法整備を盛り込んだ。
強制的な病床確保には医師会などから反対の声が上がる。症状に応じて役割を分担し、中小の民間医療機関も主体的に参加できる仕組みが求められよう。
与野党の多くが司令塔機能の強化を掲げた。省庁の縦割りによって政府の対策が後手に回ったと批判されたため、縦割りの打破を狙ったものだ。
ただ、具体性は乏しい。
連携不足は省庁間だけでなく、国と都道府県のやりとりでも目立った。司令塔機能を高めるには、国と地方の権限のあり方や責任の所在を明確にする必要があろう。
行政改革で数が減った保健所の体制立て直しも課題だ。公明党は保健所への財政支援の強化を訴える。共産党は具体的に保健所予算を2倍にすると主張する。
対策に実効性を持たせるには、この間の政府対応の検証が欠かせない。だが、政府による検証はわずか1カ月でまとめ、参院選目当てのお手盛りとの批判が強い。
立憲民主党は専門家による調査委員会を国会に設置することを提案した。
東日本大震災の際には国会が政府とは別に検証委員会をつくり、当時の首相などに聞き取りを行った。これを参考に、与野党で実現すべきだ。