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<社説>2022参院選 外交・安全保障 専守防衛に反せぬ議論を

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 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、参院選では外交と安全保障が主要な争点となっている。

 国際秩序を揺るがす暴挙に対し、岸田文雄首相は日米関係を基軸にした上で、先進7カ国(G7)の結束を重視する。

 米国は対中競争をにらむ。日米豪印の協力枠組み「クアッド」や経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を次々と立ち上げ、関係国との連携を強化した。日本はそれに追随している。

 中国の軍拡や北朝鮮問題など東アジアでの対応も含め、同様の姿勢で臨むとした党は多い。

 しかし陣営同士による力と力の対決は、かえって東アジアの安保環境を不安定化させかねない。

 ウクライナ侵攻に乗じるように防衛力増強を訴える公約が目立つが、日本の安保は専守防衛や非核三原則といった憲法に基づく平和主義が前提だ。防衛力に偏らず、外交を尽くすことが重要である。

 戦後の安保政策は岐路に立つ。各党は明確なビジョンを示して議論を深めてもらいたい。
■根拠欠く予算の倍増

 首相は安倍、菅両政権の防衛力強化路線を加速させている。先の日米首脳会談で防衛費は「相当な増額を確保する」と表明した。

 これを受けて自民党は公約に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防予算の目標とする対国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に置き、5年以内に防衛力を抜本的に強化すると明記した。

 野党でも日本維新の会は2%を目安に防衛費増額を図るとした。

 歴代政権は1%を目安としてきた。2%になれば米国、中国に次ぐ世界第3位の規模になるが、両党とも財源に触れていない。

 立憲民主党は「総額ありきではない」としつつ着実な防衛力整備を行うとし、国民民主党も増額するとした。公明党も着実に整備するという。共産党や社民党は大幅増額に懸念を示す。

 限られた財源の中、数字ありきでなく真に必要な装備を吟味するのが当然だろう。各党は財源を含めて説明する必要がある。

■非核三原則守れるか

 国是の専守防衛や非核三原則を揺るがす公約が少なくない。

 自民は相手領域内のミサイル発射基地を破壊する「敵基地攻撃能力」について「反撃能力」と言い換え、保有する考えを示した。維新と国民民主も保有に前向きだ。

 立憲は見解を示していない。共産、社民は反対している。

 安倍政権以前は、敵基地攻撃能力を持つことは専守防衛に反するとして否定してきた。保有を認めれば逸脱する恐れがある。

 専守防衛は「防衛力は自衛のための必要最小限度に限る」とする防衛政策の基本だ。公約で自民は触れていない。維新は見直しに取り組むとした。立憲や公明、共産は明記している。

 日本は二度と侵略戦争をしないとして専守防衛に徹することで、アジア各国の一定の信頼を得てきた経緯を忘れてはならない。

 米国の「核の傘」を含む核抑止も論点だ。自民党は公約に盛り込み、首相はいっそうの強化を打ち出している。維新は米国の核兵器を日本に配備し共同運用する「核共有」政策を議論するとした。

 一方で自民、維新の公約には非核三原則への言及がない。立憲と公明は非核三原則を堅持し、核共有の導入にも反対するとした。

 各党には戦争被爆国としての自覚を持った政策が求められよう。

■近隣国と対話必要だ

 近隣諸国との関係を良好に保つには対話が欠かせない。

 台頭する中国とは、9月に国交正常化50年を迎える。だが対面での首脳会談は2年以上行われておらず、関係の冷え込みが目立つ。

 韓国との関係も徴用工問題などを機に過去最悪と言われる。首脳会談は遠ざかったままだ。

 北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題も解決には程遠い。

 各党とも説得力のある具体策には乏しい。東アジアの平和と安定に向けて、より実効性のある外交構想を提示してもらいたい。

 北方領土に関しては「解決する」との言及にとどまる党が多い。

 ロシアはウクライナ侵攻後、平和条約締結交渉の継続を一方的に拒否した。四島周辺水域での日本漁船の安全操業など漁業に関する協議は双方の主張が対立し停滞が目立つ。漁業者の不安は大きい。

 領土交渉をどう立て直すか、各党は戦略を示す必要があろう。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設は予定地に軟弱地盤が見つかった。自民党は移設を推進するとしたが、完成は見通せない。立憲、共産、社民は移設中止を掲げる。

 選挙戦を通じて各党は、米側との交渉を含め、有権者が納得できる説明を尽くすべきだ。

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