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<社説>沖縄慰霊の日 痛みの現実直視したい

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 沖縄はきょう戦没者を悼む慰霊の日を迎える。新型コロナウイルス対策で参列者を絞っていた追悼式には、首相として3年ぶりに岸田文雄首相が出席する。

 77年前の戦争末期、沖縄は本土防衛の「捨て石」となり、多くの住民が犠牲になった。県民の4人に1人が命を落とし、兵士も含めた死者は20万人を超える。

 そのうち道内出身者は都道府県別で沖縄に次いで多く、1万人以上に上った。

 ロシア軍によるウクライナへの攻撃は、焦土と化した沖縄戦に重なる。凄惨(せいさん)な過去に思いを致し、国民一人一人が悲劇を繰り返してはならないと誓う日にしたい。

 今年は沖縄が日本に復帰してから50年の年である。しかし現在も、米軍専用施設の7割は沖縄に集中している。

 戦時中だけでなく、戦後も苦難を強いているのが現実だ。

 政府は沖縄の痛みに、いっそう真剣に向き合う必要がある。

 望まぬ基地負担を象徴するのが米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題だ。沖縄の人々は県民投票や度重なる選挙で移設反対を訴えてきたが、政府は聞く耳を持ってこなかった。

 埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったにもかかわらず「辺野古が唯一の選択肢」との主張も変えず強引に工事を進めている。再び法廷闘争に発展する見込みだ。

 首相は「沖縄の心に寄り添う」と繰り返しているが、これでは沖縄に強硬姿勢で臨んだ安倍・菅両政権と同じである。

 ウクライナ情勢がアジアに影響を及ぼしかねないとして、首相は防衛力増強に前のめりだ。

 台湾海峡の緊張への懸念から、沖縄県を含む南西諸島の防衛拠点化を加速させている。自衛隊と米軍の一体化も急速に進める。

 有事の際には住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高いことに、沖縄の人々は77年前を思い起こし、不安を感じているのではないか。

 多大な犠牲を出した沖縄の人々に寄り添うなら、政府は衝突の回避に向けて外交努力を尽くすことこそ重要である。

 米軍絡みの事件、事故はいまだに絶えない。

 基地が原因とみられる河川などの水質汚染も相次いでいるが、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定に阻まれ、日本側による基地内の調査さえ実現していない。

 沖縄県は日米地位協定の改定を訴えている。日米両政府は地位協定見直しの議論を急ぐべきだ。

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