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<社説>参院選きょう公示 暮らしと安全守る論戦を

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 参院選がきょう公示される。

 昨年10月の衆院選は岸田文雄首相の就任直後に行われたため、政権運営に対する審判の場としては実質的に初めてとなる。

 ロシアによるウクライナ侵攻は戦闘が長期化し、国内では円安と物価高騰が国民生活を脅かす。

 中でも目下最大の争点は物価高騰対策である。

 急激な円安が物価高に拍車をかけている。困窮世帯への給付といった一時的な支援だけでは足りない。円安の要因である大規模金融緩和の見直しを含めた中長期の展望が求められよう。

 ウクライナ危機で安全保障政策が注目されるが、防衛力強化に偏重すれば、東アジアの緊張が高まりかねない。

 市民生活を破壊する戦争を未然に防ぐとともに、根底から揺らいだ国際秩序をどう立て直すか。日本の行動が問われている。

 政策を方向づけるのは主権者たる国民であり、参院選は国政に参画する重要な機会だ。

 選挙戦で与野党の論戦をしっかりと見極めたい。

■手法異なる物価対策

 物価高対策を巡り、首相はきのうの党首討論会で、石油元売りへの補助金や小麦の政府売り渡し価格の据え置きを挙げ「価格抑制の効果が出ている」と強調した。

 いずれも業界や団体を通じた間接的支援だ。企業などのもうけが国民にしたたり落ちるとするトリクルダウンに似た発想といえる。

 これに対し、野党はかつての共闘体制が崩れ、バラバラに対策を打ち出すが、消費税減税では足並みをそろえる。

 消費者の懐を直接温める支援策を重視したものだ。国民民主党が主張する一律10万円給付などもその延長線にある。

 ただ減税分の財源が明確でなく、現状では実現性に乏しいと言うほかない。

 与党からは「フェイク」との批判も上がる。だが、与党側も法人税の減税を進めてきた。その分の財源を示さず、消費税減税を批判するのは整合性が取れない。

 物価高対策の手法は与野党で異なる。財源を含めて体系的に説明できれば、トリクルダウンを前提としたアベノミクスの検証につながる可能性がある。

 単なる選挙向けのアピールに終わらせず、各党が目指す社会像を提示し、それを競い合う論争をすべきだ。

■安保政策の比重高く

 自民党は参院選の公約で防衛力強化を前面に打ち出した。

 その柱の一つである防衛費の増額は、野党の日本維新の会や国民民主党も公約に明記した。

 公明党と立憲民主党は「着実な防衛力整備」を掲げ、防衛費の増額を否定していない。

 ウクライナ危機を受け、与野党問わず安保政策に比重を置く傾向が強まっている。

 自民党はさらに、敵基地攻撃能力を言い換えた「反撃能力」の保有検討を盛り込んだ。維新は米国の核兵器を日本に配備する核共有の検討に踏み込んだ。

 どちらも専守防衛や非核三原則に反する。地球規模で広がる安全保障の不安定状況に、防衛力一辺倒で対応すれば十分と言えるだろうか。共産党は防衛費増額に反対し「外交による平和」を掲げる。

 必要最小限の装備とは何か。周辺国との対立を解消する外交戦略をどう描くのか。危機にこそ、力だけでなく外交を軸にした冷静な議論が欠かせない。

■立法府再建が急務だ

 自民党の茂木敏充幹事長が北海道新聞などとのインタビューで、参院選後に改憲原案の国会発議を目指す考えを表明した。

 3年前の前回参院選では自民、公明両党に維新などを加えた「改憲勢力」が改憲発議に必要な3分の2の議席を割り込んだ。

 選挙結果が出る前に発議に言及するのでは与野党の熟議より数の力にものを言わせる姿勢にほかならず、拙速と言わざるを得ない。

 共産は改憲そのものに反対し、立憲は議論には反対しないが党内は護憲派が少なくない。

 国会の憲法論議は結論を出せる状況にはないと言える。

 国会では安倍晋三政権以来、強権的な政治手法が強まり、幅広い民意をくみ取る民主主義の土台が大きく揺れている。

 権力の暴走を止めるために、立法府の行政監視機能を強化しなければならない。

 参院では現在、自民、公明の与党が過半数を占めており、改選後もこの枠組みを維持する構えだ。対する野党は改選1人区での戦いぶりがカギを握るだろう。

 任期途中での解散がない参院は腰を据えて大局的に政策を議論できる。「良識の府」にふさわしい資質を備えているか、各候補をじっくり見定めることが大事だ。

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