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<デジタル発>防災対策、「生き残る力」と「生き延びる力」が重要 <災害に備える・専門家の見方>②北見工大地域と歩む防災研究センター・高橋清センター長

 毎年のように観測史上最大の自然災害が発生する中、防災研究を進める機関として、北見工大(北見市)が「地域と歩む防災研究センター」を立ち上げてから、5月で3年を迎えました。4月からセンター長となった同大地域未来デザイン工学科の高橋清教授(地域防災)に、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策を中心に、地域防災のあり方や最新の研究成果について聞きました。(報道センター・川崎学)

■工学の専門的な知見を防災に

 地域と歩む防災研究センターは、工学の専門的な知見を生かして、地域の防災に貢献することを目的に、2019年5月に設立しました。防災教育などのソフト対策を地域と連携して進める「地域協働防災」、道路や橋、堤防などインフラの防災技術を研究する「インフラ耐災技術」、災害現場で現地調査を行う「突発災害調査」の三つの分野で研究に取り組んできました。

16年の連続台風による豪雨災害で明らかになった橋梁(きょうりょう)付近の地盤の浸食・崩壊メカニズムを調べる大規模水路実験=19年5月、北見工大内の研究施設「北見市オホーツク地域創生研究パーク」(地域と歩む防災研究センター提供)
16年の連続台風による豪雨災害で明らかになった橋梁(きょうりょう)付近の地盤の浸食・崩壊メカニズムを調べる大規模水路実験=19年5月、北見工大内の研究施設「北見市オホーツク地域創生研究パーク」(地域と歩む防災研究センター提供)


 防災は、それぞれの災害に備えることも大事ですが、複合して災害が起きることを想定した対策も必要です。例えば、海溝型地震の後には津波が起きることがありますし、厳冬期に地震や津波が起きれば、寒さによる二次被害を考える必要があります。冬季の災害を想定することは、北海道における防災対策には、とても重要な要素です。

■積雪寒冷地の防災上の課題

 特に寒冷地の津波対策は、とても重要で難しい課題があります。まず、どうやって避難するか。夏場の道の状態とは違い、積雪していたり、凍結している避難路をどうやって逃げるのか考えなければいけません。国が3月にまとめた日本海溝・千島海溝沿い巨大地震対策の報告書にもありましたが、これまでは原則、徒歩としていた避難方法を変えて、車での避難を考えても良いと思います。ただ、渋滞がなく避難できるかについて、ルートを含めてきちんと準備しておく必要があります。

 渋滞が発生するか把握するためには、まずは実際の避難訓練でデータを取ることが大事です。全ての人が参加する避難訓練は難しいですが、関係者が一斉に地震を想定した避難訓練を行う「シェイクアウト」を実施している自治体もあり、地道な避難訓練の中で課題を見つけることができると思います。また、全ての人が車で避難するのではなく、歩いて逃げられない障害者や高齢者などの要配慮者を優先すべきです。事前にしっかりと要配慮者を把握して、車で避難できる仕組みをつくっていくことが大事だと思います。

 避難時に、地震による土砂崩れで道路が埋まっていることも考えられます。そうした避難に関わる情報を、リアルタイムに提供することも重要になります。センターでは、道路の情報に加えて、気象や河川の水位などを統合的に扱う仕組みを考えています。住民がスマートフォンなどから情報を得て、自ら判断できる仕組みを作ることができると思っています。もちろん、仕組みを実際に利用してもらう必要があるので、センターの名前に「地域と歩む」とあるように、自治体や地域住民との連携を深め、一緒に防災対策を進めていきたいと思っています。

■「コンクリートも人も」

 東日本大震災では、防潮堤などのハード対策だけでは被害を防ぐことができなかったことから、避難意識の醸成や防災教育の重要性がクローズアップされました。ただ、避難するにしても利用できる避難経路や避難施設があることが前提になります。道路の耐震性や津波タワーの整備など、しっかりしたハード対策が無ければ、逃げることもできません。以前、行政による大型の公共工事を批判して、「コンクリートから人へ」という言葉が叫ばれましたが、防災においては「コンクリートも人も」が基本だと思います。

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