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<社説>WTO閣僚会議 分断修復し立て直しを

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 スイスで開かれていた世界貿易機関(WTO)の最高意思決定機関である閣僚会議が閉幕し、6年半ぶりに閣僚宣言を採択した。

 ロシアのウクライナ侵攻で懸念される食料危機への対応では、不必要な食料輸出制限をしないWTO協定上のルールの順守を確認した。20年以上交渉が続く漁業補助金の規制でも一部合意した。

 WTOは大国同士や先進国と途上国の対立で機能不全が続いてきた。加盟する164の国と地域が今回、自由貿易の理念の堅持で結束したことは成果と言えよう。

 世界では、自由貿易が貧困や格差拡大の原因だと批判する政治家が台頭している。新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」のようなブロック経済化の動きもみられる。

 WTOが発足した背景には、保護主義が第2次世界大戦につながったという反省がある。加盟国は合意内容を着実に実現するとともに、分断を修復してWTOの立て直しを図るべきだ。

 ロシアの黒海封鎖により、世界有数の穀倉地帯であるウクライナで小麦の輸出が滞っている。

 国際食料政策研究所(IFPRI)によると、侵攻後に10カ国以上が内需分の確保などを理由に食料の輸出制限に踏み切った。

 閣僚宣言は農産物や肥料、燃料の価格上昇が食料安全保障に影響していると懸念を表明した。

 加盟国であるロシアは即時停戦し、食料危機を回避する責務があろう。輸出を制限している国も実態や計画を説明し、食料不安の解消に努めることが欠かせまい。

 WTOの紛争処理制度で最終審となる上級委員会は、2019年末にトランプ米政権が委員の選任を拒否してから機能していない。

 今回の会議でも24年までに解決する目標を示すにとどまった。

 上級委が機能しなければ、新たなルールを作っても実効性を担保できない。機能回復が急務だ。

 米国はロシアへの経済制裁を主導する。それによって物流の停滞や企業の原材料調達難といった問題が起きている。

 バイデン政権はそれらに対処する責任があり、国際貿易の円滑化に力を尽くすべきである。

 閣僚会議は違法な漁業への補助金を禁じ、乱獲状態にある魚種などへの補助金は、資源回復措置を条件とすることで合意した。

 資源問題は日本への影響も大きい。途上国の優遇措置などは継続協議となっており、詰めの交渉を急いでもらいたい。

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