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<市場発!>札幌まつりの季節なのに、トキシラズはどこへ消えた?

 先週の14日から16日にかけて、北海道神宮例祭(札幌まつり)が行われました。3年ぶりに中島公園と北海道神宮の境内に露店が並び、大勢の人出でにぎわいました。

 この札幌まつりの時期に食べる魚として札幌の市民に親しまれてきたのが、回遊中のシロザケを指す「トキシラズ」です。

札幌市中央卸売市場に並ぶトキシラズ
札幌市中央卸売市場に並ぶトキシラズ


 トキシラズはロシアの川で生まれたシロザケが中心で、日本周辺を回遊しているときに漁獲されたものを示します。日本の川で生まれたサケが漁獲されるのは、産卵のために川に戻ってくる秋ごろですが、トキシラズは漁期が全く違います。このため、「時を知らないサケ」として、トキシラズと呼ばれるようになったとも言われています。

 ロシアと日本政府の漁業協定では、生まれた川のある国(母川国)が「第一義的利益及び責任を有する」と定めており、日本は漁獲にあたり、ロシアに協力費を払っています。しかし、2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、協力費などを巡る交渉の妥結が遅くなりました。今年の初水揚げは例年よりも3週間あまり遅くなりました。

 札幌市中央卸売市場へのトキシラズの入荷も遅れました。ただ5月の出足も量が伸びず、6月に入ってからも十分な入荷がないそうです。「最近も入荷は1日200本くらいでしょうか。かつては1000本は入っていたのに」(カネシメホールディングスの広瀬学監査役)

 札幌市場の卸大手であるカネシメホールディングス(HD)のトキシラズの入荷量は6月半ばまでで15トンほど。極端な不漁だった2021年シーズン全体(17トン)とすでにほぼ同じ水準になってきていますが、豊漁だった20年シーズン(100トン)と比べると大幅に減少しています。

 入荷量が減少したことで、単価は上昇しています。今年の卸値の平均は1キロあたり2680円。不漁だった21年の2720円とほぼ同じで、20年の1240円の2倍以上の高値になっています。「品質は高いのですが、この価格だと小売価格は一切れ1000円近くになってしまいます。とても庶民が楽しめる魚種ではなくなってしまいます。これだけ量がないと、せっかくの札幌まつりなのに、あわせて食べられる人が減ってしまう。なんとも残念です」。長く市場に関わってきた広瀬さんもがっくりと肩を落としていました。

 それほどにトキシラズは今年も漁獲量がないのでしょうか。札幌市場への入荷減の理由を探るべく、主要産地の一つである釧路に向かいました。釧路和商市場内で海産物を販売する丸栄田村商店の田村秀樹社長に聞きました。

 「例年と比べると漁獲量は半分以下ですね。でも昨年の倍くらいはありますよ。先週あたりから量は少しずつ増えてきています」。確かに量は多くないようですが、ちょっと札幌市場で聞くよりは前向きなニュアンスを感じます。

 丸栄田村商店では店頭販売よりも長年の得意先の贈答品需要や、インターネット販売の方が取扱量は大きいそうです。トキシラズはとても人気があり、大量の在庫を確保しておく必要があるのだそうです。「昨年に比べたら、今年は幸せですよ。在庫をもう千数百本ほど抱えることができていますから。これを切らしてしまったらまずいんです。だから、釧路ではほかの問屋さんもみんな必死に在庫を確保していましたよ」(田村社長)

 どうやら、札幌市場のトキシラズの入荷が少ないのは、不漁だけが理由ではないようなのです。

■昨年はギリギリ、シーズン初めから在庫確保へ

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