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<デジタル発>ヒグマの「背こすり」って何? 映像が捉えたその生態 札幌市内の生息調査に同行

 ヒグマの生息数って、どういう方法で調べるか知っていますか?5月中旬、酪農学園大の佐藤喜和教授(51)=野生動物生態学=の研究室が長年行っている札幌市内の生息数調査に同行すると、クマの習性を巧みに利用していることが分かりました。(尹順平、内山岳志)

生息数調査で札幌市内の山林に入る佐藤教授(左)と研究室の学生2人
生息数調査で札幌市内の山林に入る佐藤教授(左)と研究室の学生2人

■南区の国有林へ

 5月18日午前7時、佐藤教授と学生2人のチームと札幌市南区定山渓の温泉街で待ち合わせし、車で近くの林道に向かった。国有林のため事前に許可を得てゲートの鍵を開け、林道を通って奥へと進む。しばらく進むと、前を行く佐藤教授の四輪駆動車が止まった。「雪がまだ残っているので、ここからは歩いて行きます」

 佐藤教授の研究室は2014年から札幌市近郊の山林でヒグマの生息数調査を始め、16年からは今回のような奥山でも調査するようになった。これまでの調査で百数十頭を確認し、年々、緩やかに増加しているという。佐藤教授は「市街地のすぐ近くで複数頭のクマが繁殖していることも分かってきた」とも述べ、奥山は主に大型の雄が暮らし、市街地近くは子連れの雌グマや比較的若い雄が多いと分析している。

 今回の調査に参加したのは酪農学園大4年の大久保瑛美さん(25)と、同大学院修士課程2年の酒井優太さん(23)だ。研究室は十勝管内浦幌町でも調査しており、2人は「浦幌ヒグマ調査会」と刺しゅうがしてあるえんじ色のそろいの作業服を着ていた。もしものためのクマ撃退スプレーもそれぞれ腰に1本ずつぶら下げていた。

 雪道を歩くこと約10分、衛星利用測位システム(GPS)で位置を確認していた大久保さんが「ここから直線距離で700メートルちょっとです」と最初の目的地に近づいたことを教えてくれた。冷静な酒井さんが「今年は大雪だったので、例年より雪が林道に残ってるね」と返す。

■雪上にはヒグマの足跡


雪の上に残っていたヒグマの足跡に緊張感が増す
雪の上に残っていたヒグマの足跡に緊張感が増す


 さらに10分を歩き、最初の目的地に到着すると、佐藤教授が雪上を指し示した。「ちょっと古いけどヒグマの足跡です」。雪が溶けて輪郭はぼんやりしているが、指の跡もくっきり残っており、緊張感が増した。

有刺鉄線を巻いたヘアトラップ
有刺鉄線を巻いたヘアトラップ


 目的地には立ち木の横に高さ約1・5メートル、直径15センチほどのくいが打ち込まれていた。カラマツ材だといい、近づいて見ると、有刺鉄線が巻き付けてある。クマの毛を採取する道具「ヘア(毛)トラップ(捕まえる)」だ。くいに有刺鉄線を巻いただけの道具にクマは本当に近づいてくるのだろうか。

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