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<富良野 ふらのワイン50年 たゆまぬ歩み>上 研さん重ねブランドに

 新緑の向こうに十勝岳連峰を見渡す富良野市清水山の「ふらのワイン工場」。その地下熟成庫に今、特別な樽が二つ並んでいる。市のワイン事業が今年50周年を迎えたことを祝う記念の品。ブドウの品種開発から製造販売までを担う市ぶどう果樹研究所の高橋克幸製造課長(52)は「究極のふらのワインになる」と誇る。

 原料のブドウは直営農場の樹齢38年の木から収穫した2020年産「ツバイゲルトレーベ」。その果実に付いた自然由来の微生物で発酵させ、市内の東大北海道演習林のミズナラを使った特別な樽で熟成させる。地場の素材による「オール富良野」の2樽は秋に完成し、富良野や札幌で開く記念式典で来場者に振る舞う。十分な量が瓶詰めできれば市販する可能性もあるという。

■ブドウの適地

 ふらのワインは同研究所が造るワインの総称だ。同名の看板商品「ふらのワイン」赤、白をはじめ現在28銘柄。その歴史は研究所が発足した1972年4月にさかのぼる。コメ余りで国が生産調整に乗り出し、稲作が盛んな富良野でも新たな作物が求められた。富良野盆地周辺の日当たりの良い傾斜地、昼夜の寒暖差が大きい気候。適地とみた市はブドウ栽培による農業振興にかじを切った。

 醸造技術の習得やブドウの栽培試験を重ね、78年に「ふらのワイン」を発売すると売れ行きは順調に伸びた。富良野を舞台に81年に始まったテレビドラマ「北の国から」のヒットや90年代のワインブームを追い風に97年度には過去最多の各銘柄計64万7千本を販売。「熟成した香りと程よいコクが特長」(同研究所)の「ふらのワイン(赤)」を柱に、時代の好みを反映させて安定した支持を得て、道内最古参の十勝ワイン(十勝管内池田町)に次ぐ公営ワイナリーのブランドとなった。

■50品種を栽培

 最大のこだわりは100%地元産のブドウだ。耐寒性に優れた主品種「セイベル」や独自開発の山ブドウ交配品種「ふらの2号」などこれまでに栽培した品種は50種に及ぶ。「挑戦の歴史を積み重ね、常に進化を目指す姿勢は他のワイナリーの模範」。北大大学院で農学博士号を取得した山梨大学の奥田徹教授(ワイン学)は賛辞を惜しまない。

 研究所は秋ごろ記念誌を発行する予定。記念ロゴも制作し祝賀ムードを高める。グラスの形をした「50」の「0」にワインが半分注がれた意匠で「残りは次の100周年に向けて満たされていく」。研究所の桑島洋業務課長(51)がロゴに込められた意味を語る。

 半世紀の歴史は、農家と製造部門が時にぶつかりながら質を高めてきた切磋琢磨(せっさたくま)の道のりでもあった。(富良野支局の千葉佳奈が担当し、3回連載します)

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