PR |
|
---|---|
PR |
<市場発!>続く野菜の高値、今年の道産は大丈夫?
多くの野菜の価格が高値で推移しています。
昨夏の北海道では例年以上の暑さと干ばつで、ジャガイモやタマネギなどの野菜の収穫に大きな影響が出ました。その影響がいまなお続いているほか、本州以南の野菜産地でも低温や干ばつなどの天候不順が発生し、野菜の生育に悪影響を与えています。
ダイコンも最近の価格が割高になっている野菜の一つです。本州の産地である千葉県や茨城県での低温などの影響から、生育が不振で、札幌市中央卸売市場では昨年より2割ほど卸値が上昇しています。
例年なら5月下旬から道内で流通するダイコンの多くが道内産に移ります。多くの食品が値上げされている中で、食卓での使用頻度が高い野菜の今後の価格は気になるところです。道内で最も早く収穫が始まる道南のダイコンの生産者を訪ねてみました。
渡島管内七飯町の野菜農家、伊藤克彦さん(46)のダイコン畑では、5月22日から収穫が始まっていました。
「七飯では4月はじめから雨らしい雨がほとんど降っていません。干ばつ傾向からダイコンの生育が遅れていて、収穫開始は例年より1週間程度遅れています」
伊藤さんの畑を見ると、確かに地面が乾ききっていました。地域気象観測システム(アメダス)がある近隣の北斗市の4月の降水量はわずか6ミリ。平年の10分の1にもなりません。5月に入っても平年を大幅に下回る水準が続いています。
実は昨年夏も同じような光景を見かけました。
全道的に降水量が少なく、ダイコンの主要産地である後志管内留寿都村の畑を訪れてみたところ、畑の土は乾いてカチカチに硬くなっていました。ダイコンは真っすぐ下に伸びていくことが困難になっていました。
硬くなった土の中で、下に伸びることができずに曲がってしまったり、下部がくさび状に変形してしまったりして商品にならないダイコンが畑のあちらこちらに捨てられていました。
そしてまた、今年も干ばつです。多くの変形が生じてしまっているのでしょうか。
伊藤さんはダイコンを守るために、一つ決断をしたそうです。「このままではまずいと思って、5月半ばに畑にホースを引っ張ってきました。たっぷりと水をまいたんです」。もちろん、畑に水を注ぐ「灌水(かんすい)」には手間もコストもかかります。
取材の翌日に収穫するという畑から1本、抜いていただきました。まるまると太ったおいしそうなダイコンが出てきました。
畑をよく見ると、収穫済みの場所と収穫を遅らせている場所がありました。「畑は平らでなく、水分が集まりやすいところと、そうでないところがあります。水分が確保されていて、比較的生育が早く、収穫できると判断した場所から収穫しています」。灌水や収穫する畑の場所をこまめに調整することで、出荷量は例年並みを見込めるそうです。農業者の工夫で天候不順を切り抜け、出荷量を維持している様子でした。
市場でも「道産ダイコンへの切り替わりが進めば、少しずつ、ダイコンの価格も下がってくるのでは」(札幌みらい中央青果野菜二部の木下忠部長)とみています。
ただ、なかなか高値の解消まで時間がかかりそうな野菜もあります。ダイコンのほかの野菜についても、昨年と比べた価格動向を札幌市の調査からみていきたいと思います。
■タマネギ価格、昨年の倍以上に
【関連記事】
<デジタル報道チームによる 市場発>一覧へ
<データ@ほっかいどう>一覧へ
⇒灯油値上がりでも消費量を減らせない 北海道エネルギー考
⇒燃える氷? 未利用エネルギーの可能性 北海道エネルギー考
⇒CO2こそ次の資源 苫小牧で描く構想とは 北海道エネルギー考