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<デジタル発>77兆円のコロナ対策、日本は無駄にした? 経済学者の原田泰さんに聞く
新型コロナウイルスの感染が国内に広がってから、2年余り。昨年末に「コロナ政策の費用対効果」(ちくま新書)を出版した経済学者の原田泰(ゆたか)・名古屋商科大ビジネススクール教授(71)は、この間国が投じた巨額の対策費について「見合った効果が出ていない」と指摘する。どういうことなのか。経済政策の観点から日本のコロナ対策を検証してもらった。(聞き手・編集委員 宇野一征)
――著書で、国の新型コロナ対策予算の使い方を「お粗末だった」と結論づけています。
「政府は2020年度だけで、ざっと77兆円をコロナ対策に使いました。しかし、この年の国の経済規模を示す名目国内総生産(GDP)は536兆円と、前年度から21兆円減りました。ざっくりとした計算ですが、お金だけでみれば、日本はコロナの支出とGDPの減少分を合わせて計98兆円の経済的損失を被ったことになります。21年度については分析しきれていませんが、状況はさほど変わっておらず、損失はさらに拡大するとみています」
――何が悪かったのですか。
「予算の内訳を見ていくと、費用対効果の低い政策が少なくありません。例えば、政府は医療体制の拡充費用7兆8千億円の大半をコロナ向け病床の確保に投じましたが、確保できたのは約3万9千床にとどまります。1床確保するのにざっと2億円もかかった計算です。医療機関に対して重症者病床1床当たり1950万円の補助金を出すなどして確保に努めましたが、補助金を受け取りながら入院を断る病院も目立ちました。予算の使い方がずさんだったと言わざるを得ません」
「20年度時点で3兆円使った『GoToキャンペーン』も、経済政策の観点でみれば基本に反しています。ウイルスは人が動くほど周囲に広がり、悪影響をもたらす存在。経済学では公害などと同様に『外部不経済』と呼ばれるもので、補助金ではなくむしろ拡大を防ぐために課税することを軸に考えるのが基本です。政府は落ち込んだ経済活動の回復を急ぐあまり、その逆をやってしまいました」
――日本は感染拡大当初、クラスター(感染者集団)対策に力を入れました。当時の専門家の間では「PCR検査の対象をもっと拡大するべきだ」との意見もありました。
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