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<デジタル発>錦鯉・長谷川雅紀さん 「おじさん芸人」が語ってくれた「開き直り」の極意

 「こーんにーちはー」と両手を前に突きだして声を上げるポーズが、すっかりおなじみとなったお笑いコンビ「錦鯉」長谷川雅紀さん(50)=札幌出身=。錦鯉は、昨年末の漫才コンクール「M―1グランプリ2021」で優勝を果たしました。コンビは結成10年の節目で、大会史上最年長での優勝でした。長谷川さんが「諦めないでやってきて良かった」と涙をこぼす姿が印象的でした。「おじさん芸人」とも呼ばれる長谷川さんは、諦めてしまいたくなるような日々をどうやって乗り越えて、人気芸人となる夢を実現させたのでしょうか。中高生に向けて、20年以上に及ぶその長い道のりを聞かせてもらいました。(報道センター 光嶋るい)

カメラを前にポーズを決める長谷川雅紀さん(金田淳撮影)
カメラを前にポーズを決める長谷川雅紀さん(金田淳撮影)


 取材は札幌で、テレビ番組の収録の間に行いました。すっかり売れっ子となった長谷川さんですが、表情を引き締めて言います。「僕らは芸歴は長い。でも、テレビに本格的に出始めて2年ぐらいです。優勝はゴールじゃなくて、テレビに出るチケットをもらったにすぎないと思っています。もっと勉強していきたいですね」

 中高生向けのメッセージを色紙に書くようお願いすると、「好きな言葉は松本人志さんの『魂は年を取らない』ですが、中高生に向けた言葉じゃないですよね」。そして少し考えて「『開き直り』という言葉も好きです」と聞かせてくれました。それが信条だそうです。後ろ向きな印象もあるこの言葉をなぜ、長谷川さんは好きになったのでしょうか。

「開き直り」と書いた色紙を手にする長谷川雅紀さん
「開き直り」と書いた色紙を手にする長谷川雅紀さん

 

■小劇団で知った人を笑わせる面白さ

 まずは、お笑い芸人の長谷川さんの歩みを振り返ってみましょう。北広島西高校卒業後に進学したデザインの専門学校を半年で中退。アルバイトを転々としていた時に、誘われてたまたま参加した劇団での活動が、芸人人生の原点と言えるでしょう。それまでやりたいことを見いだせていなかった長谷川さんは、この小さな劇団の公演を通じて人を笑わせる面白さを知ったのです。

 「札幌市中央区のプラハっていう施設を小屋に見立てて活動していました。
使われなくなった病院を活用しているところです。柱が真ん中にあって見づらいんですけど、それもうまく利用したりして…」。長谷川さんは、施設について自らスマートフォンで検索しながら、懐かしそうに話してくれました。

 「芝居をやる中で、笑わせるシーンは笑い声でじかに反応がくるのがよかった。人前で表現することの恥ずかしさや緊張は不思議となかったんです。演劇で一つのものをみんなで作り上げる楽しさも味わい、のめり込んでいきました」。コントで笑ってもらうことにも魅力を感じ、劇団に入ってきた高校時代の同級生とコンビを組みました。

コンビ結成から今までを振り返る長谷川雅紀さん
コンビ結成から今までを振り返る長谷川雅紀さん

■信号機の明かりを照明代わりに

 同じ頃に吉本興業札幌事務所(当時)ができ、1994年に札幌でデビューしました。笑いのスタイルを模索する中で一時期、コンビを解散したこともありましたが、「東京で勝負をしよう」と再び意気投合して30歳で上京、コンビを再結成しました。

 東京での日々は厳しいものでした。ライブに出演しても、肝心の「笑い」が取れません。デビューが同年の北海道出身のお笑いコンビ「タカアンドトシ」をはじめ、次々に年下の芸人が売れっ子になっていきました。アルバイトで何とか生計を立てる中、同級生が家庭を持つ姿もこたえました。アパート2階の角部屋で暮らしていた時、料金滞納により電気が止められたため、部屋のすぐ前にある信号機の明かりを照明代わりにしていたエピソードを長谷川さんはよく語ります。

 「辞めようかな」。長谷川さんの心はしばしば揺れました。「正直なところ、就職への不安などから、辞める勇気がなかったから辞めなかったというだけです」。40歳の時、相方が帰郷を決め、いよいよ自らも芸人人生に区切りをつけようと考えました。その時、同じ事務所所属で7歳年下の渡辺隆さんから、新たにコンビを組まないかと誘われました。

 長谷川さんと渡辺さんの著書「くすぶり中年の逆襲」(新潮社)で、渡辺さんは、誘った理由について「(飲み会などを通じて)気心も知れていたし、何よりオレが本当にこの人面白いなと思っていた」と振り返っています。長谷川さんがいると、ライブ会場が明るくなるように感じていたそうです。2012年、「錦鯉」が誕生しました。

坊主頭と上下白色のスーツ姿がおなじみです
坊主頭と上下白色のスーツ姿がおなじみです


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