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<デジタル発>「クマのような動物」 目撃通報多発 そのナゾを追う

 札幌市内の市街地やその周辺で4月以降、「クマのような動物を見た」という通報が相次いでいます。ただ、札幌市によると、ふんや毛などの痕跡は見つからず、キツネなどをクマと誤認した例が少なくないとみられます。専門家も「クマへの不安感があるとそう見えてしまうことがある」と話しています。直前の3月末に西区の三角山の登山道近くでクマの調査に当たっていたNPO職員2人が襲われたことなどが影響し、市民の不安感が高まり、「のような」通報の増加につながった可能性がありそうです。(矢野伶奈、内山岳志)

4月19日に札幌市北区あいの里の住宅街で「ヒグマらしき動物」の目撃があったことを知らせる掲示板=4月20日、中川明紀撮影
4月19日に札幌市北区あいの里の住宅街で「ヒグマらしき動物」の目撃があったことを知らせる掲示板=4月20日、中川明紀撮影

■「のような」で集団下校

 児童が集団下校するなど本年度に最初に騒ぎとなったのは4月19日夜と20日朝に相次いだ札幌市北区あいの里の住宅街での目撃情報です。19日夜には帰宅途中の20代女性が体長約2メートルの「クマのような動物」が市道を横切るのを見たと110番。翌日朝には約2キロ離れた高齢者向け分譲マンションの駐車場近くを通り過ぎた登校中の児童が約1メートルの「クマのような動物」を見たと訴え、近くにいた住民が警察に通報しました。

 しかし、どちらの地点でも市の調査ではふんや毛などの痕跡は見つからず、児童が見たという高齢者向けマンションの駐車場の防犯カメラの映像ではクマも含めた動物の姿は確認されませんでした。

クマらしき動物の目撃情報を受け、安全のため保護者に連れられて登校する札幌市立北光小の児童=4月21日、中川明紀撮影
クマらしき動物の目撃情報を受け、安全のため保護者に連れられて登校する札幌市立北光小の児童=4月21日、中川明紀撮影


 クマ騒ぎは翌21日、東区に飛び火しました。21日午前4時20分ごろ、東区北13東12の路上で、新聞配達中の女性が「90センチほどのクマっぽいものを見た」と110番しました。市営地下鉄東豊線東区役所前近くの住宅街で、この情報を受け、周辺の小中学校計3校が臨時休校したほか、7校が始業時間を2時間遅らせるなど対応に追われ、保護者に付き添われて登校する児童の姿も見られました。同日夕には東区北31東14の大型商業施設付近でも「のような」という目撃情報がありました。

 さらに22、23日には豊平川右岸の白石区菊水元町、24日には対岸の東区東苗穂でやはり「のような」通報がありました。その後も南区や清田区、中央区でも同様の目撃情報がありました。

 ヒグマ対策を担当する札幌市環境共生担当課は警察や市民から目撃情報が寄せられた場合、現地に出向いて《1》足跡や毛などの痕跡がある《2》防犯カメラやドライブレコーダー、スマートフォンに画像がある《3》複数の目撃情報がある―などを確認し、明らかな根拠がある場合は市のホームページ(HP)の「ヒグマ出没情報」の一覧に「ヒグマを目撃」として記載しています。一方、目撃が単独で、痕跡や画像がなく、出没場所も踏まえれば見間違いの可能性がある場合は「ヒグマらしき動物を目撃」と区別しています。さらにキツネや犬などをクマと誤認したと判断したものは一覧に載せていません。

■キツネや犬をクマと誤認

 市が4月以降の目撃情報のうち、「クマらしき動物の目撃」と分類したのは13件で、このうち4月23日の白石区菊水元町の目撃情報(黄色)は一覧には載せていますが、キツネの可能性が高いとみています。キツネや犬、さらに人をクマと誤認したと判断したのは4件で、HPの一覧には掲載していません。昨年度は「ヒグマらしき動物を目撃」と分類したのは14件だけなので、市担当者は「例年とは違う異例の事態」と驚いています。

札幌市内の巣穴から顔をのぞかせる子ギツネたち。幼いうちは黒っぽい毛をしており、子グマと見紛ってもおかしくない
札幌市内の巣穴から顔をのぞかせる子ギツネたち。幼いうちは黒っぽい毛をしており、子グマと見紛ってもおかしくない


 「のような」通報が相次ぐ背景には、ヒグマの出没に対する市民の不安感の高まりがあるとみられます。

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