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「寒フレ通過のウインドシフト」「シア発生かもしれない」 知床の自然は数値化できていない<菅井貴子 あした天気にな~れ>
自宅でゆっくりと過ごしていた4月23日土曜日の午後。
「知床で観光船が遭難したようです」
UHB報道部の気象予報士から連絡が入りました。
驚いたのは、遭難の事実だけではありません。当日の気圧配置がすぐに頭に浮かびました。
おそらく報道部は、急な取材体制で混乱状態でしょう。私は少ない言葉で聞きました。
「寒冷前線が通過した直後に、小型の観光船が出航…?」
「寒フレ通過のウインドシフト?」
フレは前線。ウインドシフトとは寒冷前線が通過した後に、風向きが急変し、突風が吹くことです。
すぐ、こんな返事がありました。
「知床先端部の地形で、シア発生かもしれません」
シアとは、風が集まること。行き場を失った風は、上昇気流となり、積乱雲を発生させます。その雲の下では、強風、高波、雷雨、ひょう、気温低下などの現象が発生しやすくなるのです。
■8月でもダウンが欲しいほど
数年前の夏、知床観光船に乗ったことがあります。いったん海に出ると風をダイレクトに受け、風速は陸地の1・5倍以上、風圧は、陸地の3~4倍になります。風は船や波と一体となり、時に大きく揺れますし、体感温度は出航時より格段に低く、8月なのにダウンが欲しいほどの寒さでした。
その時、下船してから気象庁が観測しているウトロのデータをチェックしました。
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