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<デジタル発>コロナ担当記者のコロナ感染記 頭では分かってたつもりでも…

 新型コロナウイルスの感染拡大に関する取材を担当してきた記者の私(35)が、3月下旬にコロナに感染し、4月上旬まで自宅で療養しました。医学的には「軽症」でしたが、高熱と喉の激しい痛みが数日続くなど、オミクロン株の典型的な症状が出ました。症状のほとんどは発症から2週間ほどで改善し、一時はしなかった匂いも5月上旬にはほぼ元に戻りました。これまで何度も医療関係者や感染した人に話を聞いてきたはずのコロナ感染。自分自身が身をもって体験した「コロナの怖さ」を紹介します。(報道センター 田鍋里奈)

同居する妹が描いてくれた、自宅療養中の私
同居する妹が描いてくれた、自宅療養中の私


 最初に異変を感じたのは3月26日の朝だった。喉がイガイガして違和感があった。その時点ではまだ「あれ?なんか変かも」という程度。「寝ている間に乾燥したのかな」。あまり気にせず、この日は土曜日だったが原稿を出すため、午後に職場へ。夜まで記事を書いたり、確認作業をしたり。ふと、喉の違和感が強くなっていることに気が付いた。だんだんと関節も痛くなり、寒気もする…。「これは、もしや、コロナに感染したのでは」。そんな不安がチラッと頭をよぎり、急いで帰宅した。ただこの時点では「疲れているだけ。症状は気のせいで、きっとなんでもない」と、コロナ感染をかたくなに否定していた。念のため市販の風邪薬を飲み、症状は明日には良くなっていると自分に言い聞かせて、早々とベッドに入った。

今年1月以降、道内の感染「第6波」を引き起こしているオミクロン株は、高熱や喉の強い痛み、鼻水や全身の倦怠(けんたい)感が主な症状だ。昨年春から夏に感染拡大したアルファ株やデルタ株とは異なり、肺ではウイルスが増えにくい一方、鼻や喉などの上気道で増殖しやすいという。このためデルタ株までに見られた肺炎は減って、代わりに高熱や喉の痛みを訴える患者が多いのが特徴だ。


 27日に起きると、願いもむなしく症状は悪化していた。倦怠感と寒気がひどく、熱は38度5分。喉も相変わらずイガイガが続き、うがいをしても改善の気配がない。「これまでの取材で何度も聞いたオミクロン株の症状とそっくりだ」。コロナに感染したとほぼ確信した瞬間、余計に具合が悪くなった気がする。同居している妹(29)に「ついに来たわ。私たぶんコロナだ」と伝えた。寝起きの妹の顔がこわばる。お互いにすぐマスクを着けた。

 まず、何をするべきか。換気扇を回し部屋の窓を少し開けて空気を入れ替えて、洗面台やトイレなどお互いに触る部分は使うたびに消毒して―。何度も記事で紹介してきた基本的な感染対策を妹にお願いした。そのころの外の最低気温はまだ0度前後。とりあえず厚着をしなくては。幸い妹には特に症状は出ていない。今後はなるべく接触しないよう、食事の時間もずらそうと決めた。

発熱など体調不良時の問い合わせ先を紹介する札幌市ホームページ
発熱など体調不良時の問い合わせ先を紹介する札幌市ホームページ


 あいにくこの日は日曜日。ほとんどの医療機関は休みだった。札幌市のホームページ(HP)を見ると、病院への連絡は緊急時以外は「平日に」と書かれている。週末も対応してくれる病院はあるものの、基礎疾患がある人だったり、症状に緊急性がある人向けだ。私は該当しないため、医療機関への連絡は月曜日まで我慢するしかない。気休めに自宅にあったアセトアミノフェンを含む市販の解熱剤を飲み「こまめに水分補給しながら寝るしかない」と、腹をくくった。妹のため、自分の部屋を出る回数を減らせるよう、ティッシュやスポーツ飲料水などを枕元に置く。

 28日、ようやく月曜日になった。熱は36度8分に下がったが、喉の痛みはもっとひどくなり、倦怠感が強くなった。だるい身体にむちを打ち、札幌市HPに掲載されている発熱外来の一覧から、かかりつけ患者以外も診てくれる病院を選んで電話。1件目は「今日は予約でいっぱいです」とにべもなく断られた。幸い2件目でとりあえずPCR検査を受けられることになり、夕方、歩いて病院へ。ビニール越しに対面した医師は穏やかに笑って「検査でコロナじゃないことを確認しましょうね」と一言。「いや、たぶん私コロナです」と思ったが口には出さず、粛々と検査を受けた。鼻に検査用の綿棒を入れられると、痛みでむせた。のどの炎症を抑える抗生物質を処方してもらい、帰宅した。

枕元に用意した箱ティッシュやスポーツ飲料
枕元に用意した箱ティッシュやスポーツ飲料


 安心したのもつかの間、夜になると再び熱が37度5分に上昇した。倦怠感がひどいので横になっていると、病院から電話が来た。医師の声は先ほどと同様に穏やかだったが「田鍋さん、結果は残念ながら陽性でした」。ああ、やっぱり。今後は札幌市保健所からの指示に従うことや、体調が急変して命の危険を感じた場合は「ためらわずに救急車を呼んでください」とも言われた。

 29日夕方、札幌市保健所の職員から電話が来た。発症日を0日として10日間の療養になると説明を受ける。自宅療養になるか宿泊療養になるかを判断するため、細かい情報を札幌医科大などが独自開発した自宅療養判定アプリ「こくちまる」に入力するよう指示された。スマートフォンに送られてきたアドレスに接続し、身長や体重、ワクチンの接種回数、既往症、食事や水分の摂取状況などを入力。最後に送信ボタンを押すと、なんと「エラー」の表示。ああ、しんどいのに…。どこか入力に不備があったかと確認し直し、再度送信したがエラー。30分ほど格闘するも、無情のエラーのまま。もうだめだ。保健所職員に負担をかけてしまい申し訳ないが、明日また電話をくれるだろう。そう思って力尽きた。

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