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<社説>夕張破綻15年 将来像の提示が必要だ

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 夕張市が財政再建団体になってから今年3月で15年がたった。市は5年後の2027年3月までに総額353億円の借金を全額返済できる見通しだ。

 市は財政破綻後に行政サービスの水準を下げる一方、市税の引き上げなどを実施してきた。

 国の監督下に置かれ、予算編成も同意が必要だ。市が独自の判断で政策を決定することは事実上できない状態が続く。

 市民生活にしわ寄せが及んだ結果、人口減少も加速した。最盛期の1960年は約12万人を数えたが、3月末には7千人を割り込んだ。このままでは地域の活力は失われるばかりである。

 借金返済後に地域が立ち行かなくなっては本末転倒になる。夕張では来年4月の統一地方選で市長選と市議選が同時に実施される見通しだ。今から地域の将来像について議論を深めてほしい。

 夕張市は炭鉱閉山後に取り組んだ観光事業の失敗による巨額赤字が2006年に表面化し、07年に財政再建団体となった。10年に現行の自治体財政健全化法に基づく財政再生団体に移行した。

 市職員の給与を削減し、約260人いた市職員も、現在は半分以下の約110人まで減った。返済後は将来の市政の中軸となる若手職員の採用や育成も課題となる。

 破綻に伴い、市内の小学校と中学校を各1校に統合し、児童生徒は通学の負担が増した。

 市は12年から、市内に点在する集落を中心部に集約するコンパクトシティー構想を進めている。インフラ整備を効率化する狙いだが、実現は道半ばだ。

 各地に根差す商店には経営問題に直結する。住民が納得した上で丁寧に進める姿勢が欠かせない。

 17年3月には国との協議を経て財政再生に関する計画を抜本的に見直し、借金返済と地域再生を両立する形に改めた。若者の定住と子育て支援の拡充を柱に、26年度までに100億円以上を充てる。

 まだ目に見えた効果は表れていない。市民からは子育て世代が入居しやすい住宅や雇用の場の拡充を求める声が出ている。

 雇用対策に関しては、メロン栽培などの1次産業を軸に、関連する加工業や観光業への支援を幅広く柔軟に検討してはどうか。

 国が夕張に課した20年に及ぶ借金返済計画は、多くの自治体に財政規律の徹底を促すきっかけとなった。国は今後、夕張市民が希望を持てる地域づくりに向けて協力を惜しんではならない。

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