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利益優先し出航強行か 運航会社、人材確保や安全投資軽視 知床・観光船事故

 【斜里】オホーツク管内斜里町沖で沈没した小型観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」を運航する「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)は6年前に同社を買収して観光船事業に参入した。当初は会社ごと引き継いだ熟練船長が働いていたが、桂田氏は雇用契約を延長せず、最近は経験が浅い乗組員ばかりに。必要な安全投資にも後ろ向きだったとされる。この2年はコロナ禍で業績も悪化。荒天が予想される中で出航を強行した背景には利益優先の経営姿勢があったとの見方が出ている。

 関係者によると、桂田氏は茨城県で陶芸を学んだ後、地元斜里町で家族が経営していたホテル運営会社「しれとこ村」に入社し、14年に社長に就いた。知床遊覧船を買い取ったのは16年5月で、4月27日の記者会見で「船もベテランスタッフもそろい、安心して社長をやっていた」と話した。

 ただ、古参の船長ら乗組員は数年のうちに次々と離職。桂田氏は経営方針などを巡る「意見の不一致」で辞めたと説明するが、地元関係者は「解雇された船長もいる」と明かす。代わりに桂田氏が昨年からカズワン船長に起用したのは、知床の海の経験がない豊田徳幸さん(54)。甲板員の曽山聖(あきら)さん(27)は事故当日の4月23日が乗客を乗せて初めて海に出た日だった。

 一方、カズワンは搭載してあるはずの衛星電話など緊急連絡手段がほぼ皆無の状態だった。桂田氏は衛星電話について「調子が悪いことは知っていた。修理して船に積んであると思っていた」と釈明するが、桂田氏を知る関係者は「壊れているから買い直した方がいいと伝えたのに、面倒くさそうに『必要ない』と答えた」と証言する。

 帝国データバンクによると、桂田氏が知床遊覧船を引き継いだ16年10月期の売上高は6200万円だったが、コロナ禍の20年、21年は4千万円に減少。しれとこ村も19年9月期の3億2千万円から20、21年は2億2千万円前後に落ち込み、桂田氏はグループ全体の立て直しを迫られていた。

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