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<社説>物価高と日銀 2%目標から脱却急げ

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 日銀はきのうの会合で、金利を極めて低く抑える現行の異次元金融緩和を維持することを決めた。

 超低金利により運用で不利になった円は売られ、円安が急進している。円安は輸入物価を押し上げて物価高を加速させ、国民生活や事業者に痛撃を与えている。

 会合で金利抑制策が強化されたため、円は一段と下落し、20年ぶりに1ドル=131円台を付けた。

 米国の利上げで日米金利差が拡大し、円安は際限なく進みかねない。憂慮すべき事態だ。

 黒田東彦総裁は「円安は経済全体にはプラス」と繰り返すが、出費増にあえぐ庶民の暮らしに目を向けない姿勢は理解に苦しむ。

 日銀法は金融政策の目的について、物価を安定させて「国民経済の健全な発展に資する」ことだと定める。通貨安と物価高を招いている現状は法の趣旨に反しよう。

 異次元緩和は効果が判然とせず、弊害は円安助長に限らない。日銀は政策を早急に修正し、正常化への出口戦略を示すべきだ。

 異次元緩和は、物価が2%上がるまで市場に巨額の資金を供給して景気浮揚を目指す金融政策だ。その手段として国債や上場投資信託(ETF)を大量購入する。

 日銀が緩和を維持するのは、2%という物価目標に固執するからだ。しかも、2%を「安定的に」超えるまで緩和を続けるという。

 賃金が低迷する日本で物価上昇を目標にするのが妥当なのか。そもそも、物価を上げれば景気は良くなるのか。疑問は尽きない。

 日銀がきのう公表した見通しで本年度の物価上昇率は1・9%だった。目標未達成だから緩和はやめないという理屈立てだ。

 1%未満の現状でも窮している家計や中小企業は多い。さらなる物価高には耐えられまい。日銀には2%目標の取り下げも含め、柔軟な政策運営を求めたい。

 政府は円安や物価高の打撃を和らげるため、十分な支援策を講じるべきだ。同時に、賃上げ促進や大企業・富裕層への課税強化で富の再配分を進めてもらいたい。

 異次元緩和が財政規律を緩めているのは問題だ。日銀による国債の大量購入は、国の借金を超低金利で手助けすることに等しい。

 国債残高は1千兆円に達する。緩和の出口で金利が上がれば国の利払い費は大きく膨張しよう。財政破綻を回避する工夫が要る。

 日銀が買った国債やETFを手放す際、金利暴騰や株価急落の恐れもある。こうした弊害を最小限にしなければならない。

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