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<シリーズ評論・ウクライナ侵攻⑩>国際規範崩す「19世紀型戦争」 大国主義への逆行、日本は阻止を 慶応大教授 細谷雄一氏


 <ほそや・ゆういち>1971年、千葉県出身。立教大卒業後、英国バーミンガム大学大学院で修士、慶大大学院で修士・博士課程を修了。北大専任講師などを経て、2010年9月から現職。昨秋から英国ケンブリッジ大で在外研究中。専門は国際政治史。50歳。

◇ ◆ ◇


■小国踏みにじる発想

 私は今回のロシアによるウクライナ侵攻を、プーチン大統領による「19世紀型の戦争」と表現している。20世紀は「戦争は違法」という考え方が進んだが、それ以前の戦争ということだ。大国は軍事力の大きさや規模で自国の主権や利益を守れるが、小国は生存の権利すら奪われる。プーチン氏が戦争の前に、ウクライナはそもそも国家ではないと言ったのも、この発想だ。

 20世紀の国際社会は国際連盟規約(1919年)、パリ不戦条約(28年)、国連憲章(45年)などを通じて、基本的には自衛戦争と集団安全保障以外は、軍事力を行使してはいけないという国際的な規範を育んできた。2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入、そして今回のウクライナへの軍事侵攻は、1世紀をかけて築いてきた国際規範を根底から崩すものだ。非常に危機感を覚えている。

 今回のロシアの行動は、戦争の反省の上に立って、平和国家としての道のりを歩んできた日本のアイデンティティーを否定することになりかねない。日本は断固として政策の延長としての戦争、そして、世界が19世紀型の大国中心主義の時代に戻ることに対して、率先して阻止するべきだ。

■「両方悪い」議論は不適切

 SNS(交流サイト)上には、「ロシアもウクライナも両方悪い」といった議論もみられるが、適切ではない。

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