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<デジタル発>東区ヒグマ襲撃(その2) 市民に警告が伝わらなかったワケ
札幌市東区の住宅街で昨年6月18日、市民ら4人がヒグマに襲われた未曽有の事件。そもそも山のない東区の、しかも住宅街にクマが出るなんて、普通の市民なら想像もつかないでしょう。ただ、その日東区でクマが最初に目撃されてから、1~4人目が襲われるまで2時間半~4時間半の猶予がありました。その間に札幌市や警察、ニュースなどを通じて市民に出没情報は伝わっていなかったのでしょうか。(報道センター 内山岳志)
■半信半疑
その日の朝5時55分ごろ、東区北19東16の住宅街で、ごみステーションにごみを捨てて50メートル離れた自宅に戻ろうとした会社員男性(76)は自宅と隣家の間からゆっくりと出てきた黒い物体に出くわした。距離は約15メートル。「クマはゆっくりと歩いていたが、私が走って逃げたら、クマも走って追いかけてきた」。男性はすぐに住宅の角を曲がったが、足がもつれてうつぶせに転倒した。「しまった」と思う間もなく、クマは男性を踏みつけ、そのまま走り去った。背中と尻には衣服に穴が空くほどクマの両前足の爪が食い込んだが、軽傷で済んだ。男性は「たまたまうつぶせに転倒したから、踏まれただけで済んだが、立っていたらさらに攻撃されていたかもしれない」と恐怖の瞬間を振り返った。
クマはこの日午前3時28分、男性宅から北に約2キロの東区北31東19の路上で目撃されていた。男性は午前5時すぎのテレビニュースで、この目撃情報を知っており、午前5時半ごろには念のため2階窓から自宅の周辺をうかがい、クマが居ないことを目視で確認した上でごみ出しに出ていた。ただ、「まさか近所にいるとは思わなかった」といい、直前まで自分がクマに襲われるなんて想像もしていなかった。
男性宅の向かいの一戸建て住宅に住む無職原馨さん(75)も午前6時前に民放ラジオで近所にヒグマが出たことを聞き、ごみを出すのを諦めた。様子を見ようと居間のガラス越しに外を眺めていたら、突然視界にクマが現れ、自宅に向かってまっすぐ走ってきた。3メートルほど先まで近づいた後、立ち去っていったが、「クマと目が合い、窓ガラスを割って侵入してこないか心配になったが、身動きできなかった」と震え上がる。普段はごみ出しに行き、踏みつけられた男性らと井戸端会議を開く時間帯で「出ていたら私も襲われていた。出没情報があって良かった」と胸をなで下ろした。
■「まさか東区に」
「ぎゃー」。男性が襲われてから20分後の午前6時15分、約200メートル離れた北20東16の市営団地の1階に住む姉崎慶子さん(81)はごみステーションにごみを捨て終わった直後、巨大な黒い塊がものすごい勢いですぐ近くまで迫っているのに気がつき、思わず悲鳴を上げた。
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