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<シリーズ評論・ウクライナ侵攻⑦>経済制裁ロシアに打撃 債務不履行に近い状況 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏

 <きうち・たかひで>1963年、千葉県出身。早大卒。87年、野村総合研究所入社。日銀の金融政策を決める政策委員会の審議委員を2012年から5年間務めた。17年7月から現職。専門はグローバル経済の分析と予測など。

◇ ◆ ◇


 日米欧はウクライナに侵攻したロシアに対し、経済制裁で圧力をかけている。効果はかなり出ているとみている。

 確かに、2014年のクリミア編入はロシア経済の一つの転機だった。欧米からの制裁を機に、自国通貨のルーブルを中心とする独自の国際銀行決済システムをつくったからだ。今回、ロシアは日米欧の制裁で、国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から大手銀行が排除されたが、当時からこうした対応をある程度見込んでいたと思われる。貿易面ではドルの依存度を下げるように、できる限りドル建てではなく、ルーブル建てに変えた。新たな軍事侵攻を見据え、さらなる制裁を受けても打撃を小さくするため、極力自国で完結する経済を目指してきたと言える。

 しかし、今回の制裁ではロシアにとって予想外の動きもあった。大きいのは、為替相場の急激な変動を抑える時や、他国に対する外貨建て債務の返済が困難な際に備えて蓄えた対外資産「外貨準備」の凍結だ。深刻な外貨不足に陥ったロシアは為替介入が難しくなり、ルーブルは下落した。ロシア国内はルーブル安の影響で輸入品の価格が上がり、物価上昇ペースがかなり速い。消費者物価は3月中旬まで3週連続で前週比プラス2%程度の高い上昇率が続いた。その結果、

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