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<デジタル発>特別天然記念物タンチョウ、強くなるかも 大陸の個体群と交雑の可能性

 白い羽毛に覆われ、頭頂部が赤い国指定特別天然記念物のタンチョウは、日本のシンボル的な存在です。北海道内で繁殖を繰り返してきたタンチョウですが、最近の研究で、ユーラシア大陸から飛来した個体と交雑している可能性があることが分かってきました。タンチョウにいま、何が起きているのでしょうか。(報道センター 内山岳志)

釧路管内鶴居村の給餌場に集まるタンチョウたち(2021年1月20日)
釧路管内鶴居村の給餌場に集まるタンチョウたち(2021年1月20日)


 「病気に対抗するには遺伝的多様性が必要。大陸からの遺伝子が混ざるのはメリットがある」。大陸から飛来したタンチョウが営巣していたことを羽の遺伝子解析で突き止めた酪農学園大の寺岡宏樹教授(58)は、2月23日に開かれたタンチョウのオンライン報告会で交雑の意義をこう語りました。

 寺岡教授は2018年7月に宗谷管内豊富町のサロベツ原野の巣から採取された羽4枚の遺伝子解析。ミトコンドリアDNAの塩基配列を調べた結果、うち2枚が、過去の分析で韓国で見つかった個体と同じ配列を持つ「ユーラシア大陸個体群」の雄のものと分かりました。残る2枚は、北海道内に生息する「北海道個体群」の雌でした。

サロベツ原野を歩くタンチョウのつがい=2021年9月17日(NPO法人サロベツ・エコ・ネットワークの長谷部真事務局長撮影)
サロベツ原野を歩くタンチョウのつがい=2021年9月17日(NPO法人サロベツ・エコ・ネットワークの長谷部真事務局長撮影)


 昨年末に日本獣医学会の機関誌に論文を発表した寺岡教授らは、1878年(明治11年)に捕獲された剥製を含め、国内約700羽の遺伝子解析を行っています。大陸個体群の雄と同じ塩基配列の野生個体は国内にはなく、「大陸から飛来し、営巣したもので間違いない」と結論づけています。巣には卵が一つあり、通常なら2個産卵するため、もう一つがすでに孵化(ふか)して繁殖した可能性があることも分かりました。


 日本に生息するタンチョウは、乱獲により一時絶滅したと考えられてきましたが、1924年(大正13年)に釧路湿原で十数羽が見つかり、地元有志による給餌や国の保護増殖事業によって、その数が回復。現在は北海道内で1900羽まで増えたとされています。

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