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<シリーズ評論・ウクライナ侵攻②>日本の防衛資源配分 悩ましい優先順位 防衛研究所政策研究部長 兵頭慎治氏


 <ひょうどう・しんじ>1968年、愛媛県出身。上智大大学院修了。94年旧防衛庁(現防衛省)防衛研究所入り。外務省在ロシア日本大使館専門調査員、防衛研究所米欧ロシア研究室長などを経て20年から現職。専門はロシア地域研究。53歳。

◇ ◆ ◇


 ロシアがウクライナに軍事侵攻して1カ月が過ぎたが、誤算もあり、プーチン大統領の焦りといら立ちが感じられる。ウクライナの首都キエフ以外の都市では、無差別的で激烈な攻撃へと転嫁しつつあるのが現状だ。

 誤算は、ロシアの軍事作戦の見通しの甘さにある。当初は、数日でキエフを陥落させ、ウクライナを軍事掌握した上でゼレンスキー政権を退陣させ、ロシア寄りのかいらい政権を樹立できるとの見通しを持っていた。ロシア側は全体の軍事作戦は2週間で完了させるとしていた。だが、2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入を強行してからは、ウクライナ側も軍事能力を向上させていた。欧米諸国も軍事支援をし、最新式の武器も供与していた。米国はロシア軍の動きについてのインテリジェンス情報までウクライナ側に提供してきた。

 ロシアは、昨年10月末からウクライナ国境付近に軍を集結させた。だが、元々10万人余りの兵力でウクライナ全土を制圧するのは無理で、はじめから全面侵攻が目的だったわけでない。米国や北大西洋条約機構(NATO)との「NATO不拡大」の交渉がうまくいかず、最悪のシナリオに突き進んだ。国際社会から孤立し、経済制裁も食らう。ロシアにとって失うものがあまりにも大きすぎるため、私を含め、多くの有識者が全土侵攻まではないと捉えていた。あまりにも非合理的な決定だった。

 今も、何のための戦争かの大義は良く分からない。

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