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ロシア「強さの象徴」 人類最強エメリヤーエンコ・ヒョードルのアイデンティティー ウクライナ生まれであること、とのはざまで<布施鋼治 「闘」即是空>

トレーニングするヒョードル。当時まだ日本では普及していなかったケトルベル(kettlebell=やかん型の器具)を使用している。ケトベルはヒョードルによって日本で普及したようなものである=2007年夏(筆者撮影)
トレーニングするヒョードル。当時まだ日本では普及していなかったケトルベル(kettlebell=やかん型の器具)を使用している。ケトベルはヒョードルによって日本で普及したようなものである=2007年夏(筆者撮影)


 「あのポプラ並木に囲まれた道でも、ロシア軍の戦車が行進しているのだろうか」

 ウクライナとの国境に近いロシアの街スタールイ・オスコルで撮った風景写真を見るにつけ、筆者の心は痛んだ。

 かつて筆者はこの街を頻繁に訪れている。日本でも人気を博した総合格闘技団体「PRIDE」のヘビー級王者、エメリヤーエンコ・ヒョードルの故郷であり、当時は住んでもいたからだ。

■ウクライナ生まれ ロシア国籍

 かの地を車で移動していると、デジャビュというべき風景に出くわした。筆者は北海道出身。少年時代に生まれ育った札幌で目にしたポプラ並木で構成された風景と類似したそれが目に留まった。

ウクライナとの国境に近いロシアの街スタールイ・オスコル。ポプラ並木は筆者が少年時代に生まれ育った札幌で見たそれとそっくりだった(筆者撮影)
ウクライナとの国境に近いロシアの街スタールイ・オスコル。ポプラ並木は筆者が少年時代に生まれ育った札幌で見たそれとそっくりだった(筆者撮影)


 スタールイ・オスコルの産業は鉄鉱石の採掘だった。郊外に鉄鋼コンビナートがあり、ヒョードルの父ウラジミール・アレクサンドロヴィッチ氏もそこで働いていた。

 ウラジミールは妻オルガ・ヒョードロヴナとともにウクライナの出身。ヒョードルもウクライナで生まれ、3歳のときに家族とともにスタールイ・オスコルに引っ越してきた。国籍はロシア人ということになる。

■ウクライナ国旗への違和感

 ところが。以前、日本では来日した外国人選手の国名は国籍ではなく出身国を表記することが一般的だった。私がヒョードルの家で一緒に見た永田裕志との試合映像(「INOKI BOM-BA-YE 2003」=2003年12月31日)もそうだった。彼はウクライナの選手と説明されていた。

 妻オクサーナの手料理に舌鼓を打ちながら、ヒョードルはウクライナの国旗が映し出されることに違和感があると穏やかに訴えた。

スタールイ・オスコルの鉄工所で記念撮影するヒョードル(右)=2004年(筆者撮影)
スタールイ・オスコルの鉄工所で記念撮影するヒョードル(右)=2004年(筆者撮影)


 「以前はウクライナだってロシアの中にある共和国だったのだから

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