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権力者の嘘が戦争を生む ロシア凶行にみる日本の教訓<山口二郎 政治をあきらめない>

モスクワで演説するロシアのプーチン大統領=22年2月24日(ロイター=共同)
モスクワで演説するロシアのプーチン大統領=22年2月24日(ロイター=共同)


 プーチン大統領のロシアがウクライナを侵略し、多数の市民を殺害し、200万人を超える難民を発生させた。この残虐な行為には糾弾を繰り返すほかない。日本も人道援助を送り、難民を受け入れるべきである。私は軍事の専門家ではないので事態の展開について何も語ることはできない。ここでは、わが国の政治や政策にとっての教訓について考えてみたい。

■「マッチョな発想」に限界

 国際社会の本質は、イギリスの哲学者、ホッブズの言う「万人の万人に対する闘争」であり、力がものをいう。それゆえ日本も軍事力を強化し、自国は国民自身で守る体制と決意が必要だという教訓を引き出そうとする人々もいる。安倍晋三元首相をはじめ、米国と核兵器を共有すべきだと主張する政治家もいる。しかし、この種の議論は戦争を奇貨として高価な武器をそろえたいというマッチョな発想である。ウクライナも軍隊を持っていた。しかし、世界有数の軍事大国であるロシアがなりふり構わず攻撃を仕掛ければ、これをはね返すことはできない。人口減少が続く日本が、例えば中国の攻撃を想定して拮抗(きっこう)する自衛力を持とうとすれば、多額の防衛費で経済、財政が破綻するだろう。

 巨大な武力を持つ狂信的な権力者が戦争を欲すれば、正気を保っている他国は世界大戦を恐れて全面的な戦いを起こすことはできない。超大国以外は武力があっても自国を守れない。

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