PR
PR

<デジタル発>「ロシアを嫌いにならないで」 やり場のない苦悩と葛藤

 ロシアによるウクライナ侵攻が激化する中、「反ロシア」の感情が世界中で広がっている。圧倒的な軍事力を背景に一方的な主張を押し通そうとするプーチン大統領の決定は許されるものではないが、全てのロシア国民がプーチン氏を支持しているわけではなく、反戦デモも相次いでいる。「私たちも戦争反対だ」「ロシアを嫌いにならないでほしい」―。インターネットなどを通じ、ロシア語教育やロシア文化の発信に取り組んできたロシア人たちは今、やり場のない悲しみと不安に打ちひしがれている。(椎葉圭一朗)

■ロシアの言語と文化に誇り

 「ロシア語を学ぶ人がいなくなってしまうのではないかと不安だ。自国の言語や文化に誇りを持ち、長年続けてきたことが無駄になってしまう」。ロシア北西部アルハンゲリスク州セベロドビンスク市出身で、2005年からフランスで暮らすタチアナ・クリモワさん(35)は、電子メールでの取材にこう答えた。

 フランス文学を学ぶためにパリに移住し、08年からインターネットの音声配信サービス「ポッドキャスト」や、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でロシア語学習者向けのコンテンツを配信してきた。日本を含む世界各国に約500人のポッドキャストの有料会員がおり、配信した音声は毎月1万5千回再生されてきた。

 2月24日にロシアがウクライナに侵攻した直後の配信では「ウクライナの友人に合わせる顔がない」と苦しい胸のうちを語り、「多くのロシア人は戦争に反対している」「ロシア人は心ない怪物ではない」と訴えた。ただ「ロシアに対する悪い評価は今後、何年も続くのだろう」との思いは消えない。

動画配信などでロシア語を指導してきたクリモワさん
動画配信などでロシア語を指導してきたクリモワさん


 侵攻後の2月末、フランス・リヨン中心部のベルクール広場で開かれた抗議行動に参加し「戦争反対」を叫んだ。広場には多くの欧州各国の人たちに加え、多くのウクライナ人、そしてロシア人もいた。「私はロシア人です。戦争に反対しています」と書いたプラカードを掲げる同胞の存在を心強く感じた。でも「ウクライナ国歌が流れた時には、自分がロシア人であることに複雑な思いが入り交じり、心が痛んだ」。祖国ロシアで暮らす家族は元気だろうか。ウクライナで暮らす友人たちは無事だろうか。眠れない日々が続いている。

■「ロシアを変える方法がない」

 「1人の人間が、たった1日で、私の、そして多くのロシア人とウクライナ人の将来を奪ってしまった」。ロシア第2の都市サンクトペテルブルク出身で、首都モスクワに住むロシア語教師マクシム・ピメノフさん(33)は、ウクライナ侵攻に踏み切ったプーチン氏に憤っていた。

残り:1356文字 全文:2454文字
続きはログインするとお読みいただけます。

【関連記事】
<ウクライナ危機>記事一覧
<デジタル発>記事一覧

北海道のニュースがメールで届く
PR
ページの先頭へ戻る