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<宇野沢デジタル委員が読み解く>世界がシフトするEV、道内販売伸びぬワケ

 走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」の代表格として、電気自動車(EV)の普及を進める動きが昨年来、海外で広がっています。

 昨年7月には欧州連合(EU)欧州委員会がハイブリッド車(HV)を含めたガソリン車やディーゼル車の新車販売を、2035年に事実上禁止する政策を打ち出しました。8月には米国のバイデン大統領が2030年に新車販売の50%を電動化する目標を定める大統領令に署名しています。

 米国のEV専業メーカー、テスラの株式時価総額は100兆円を上回り、トヨタ自動車の3倍以上に達しています。そのトヨタも昨年12月、EVのラインアップを大幅に拡大する戦略を表明しました。ガソリンなどの石油製品を燃料としてエンジンで動く自動車が、強力なバッテリーで動くEVへと移行していく流れが、より顕著になってきているように見えます。

 ところが、足元の北海道内の市場に目を向けると、EVシフトが加速する世界の動きとは随分と異なる姿がみてとれます。


 日本自動車販売協会連合会の調べた登録車(軽自動車を除く)の資料を集計すると、2021年に北海道内で販売されたEVは246台。3年連続の前年割れで、ピークだった2018年の半分ほどになっていました。

 この数字は全国的にも極めて低水準です。21年に国内で販売された登録車台数に占める道内販売の割合は4・05%でした。しかし、EVに限ってみると道内販売台数の割合はわずか1・16%しかありません。国内のEV市場に占める北海道の規模が、極めて小さいことが分かります。

日産自動車が販売する電気自動車「リーフ」(北海道日産自動車琴似店で、伊丹恒撮影)
日産自動車が販売する電気自動車「リーフ」(北海道日産自動車琴似店で、伊丹恒撮影)


 どうして、北海道内でEVの販売は少ないのでしょうか。国内で最も多くのEVを販売してきている日産自動車の寺西章・北日本リージョナルセールスオフィス北海道グループエリアGMに聞いてみました。

 「EVへの理解には地域差があります。北海道内では冬の雪道を走る時の航続距離への心配が強く、お客さまの心の壁が突破できずにいます」。日産は電気自動車「リーフ」を10年以上販売してきていますが、北海道内での販売には苦戦しているようです。20年の販売台数が約220台に対し、21年は130台ほどでした。道内を走行しているリーフは約2千台で、ここ数年、増えていないとのことでした。

 昨年の今ごろ。倶知安支局にいた私は、朝になると、取材用の社用車の窓についた氷をはがす作業が日課になっていました。朝一番、冷え切った車内は暖房をフル稼働にしてもなかなか暖まってくれません。管轄エリア内でも30キロメートルほど離れている後志管内留寿都村や同蘭越町に朝一番で向かう時は、燃料の残量が常に気になっていました。東京にいた時にはあまり感じたことのなかった不安でした。

 北海道の冬場は、車内の暖房を強くかけたまま走行することが多いのに加え、都市間距離が長く、航続距離への懸念は他の地域よりも強くなります。現在のリーフの航続距離は322キロメートル(大容量バッテリーは458キロメートル)ですが、暖房をかけて走行すると15~20%短くなるとのことでした。「北海道は距離を走るし寒い。(EVの)デメリットが強く見えてしまっているところが悩みどころです」(日産自動車の寺西エリアGM)

 全国よりもEV普及へのハードルが高そうな北海道。調べてみると、積雪寒冷地ならではの難しさが、さらに見えてきました。

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