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<市場発!>スルメと価格差縮小 高級ヤリイカ求めやすく?
イカを巡るニュース。最近は「不漁」ばかりが目立ちます。
夏場を中心に水揚げされるスルメイカはここ数年、漁獲量が減っています。北海道が1月28日に発表した2021年のスルメイカの漁業生産高の速報値は、7千トンでした。20年より1割ほど多いものの、10年前と比べると10分の1の水準まで落ち込んでいます。
スルメイカの漁獲が急減する一方で、冬場に旬を迎えるヤリイカが1月以降、市場には多く集まってきています。
早朝5時の札幌市中央卸売市場。薄暗い売り場で、発泡スチロールの箱の中にぎっしりと詰まった赤茶色に輝くヤリイカは、とても目立つ存在でした。スルメイカより色が濃く、高級感も感じます。
札幌の市場に入ってくるヤリイカ。実は青森県で水揚げされたものが多いそうです。20年の青森県の水揚げは959トン、一方の道内は240トンでした。青森県からの方がまとまった量を集めやすいのだそうです。
ヤリイカの水揚げ量は年によってかなり差があるのですが、カネシメホールディングスの広瀬学監査役によると、「今シーズンの入荷量はほぼ昨シーズン並みで推移しています」とのことでした。
身が透き通っていて、コリコリとした食感とさっぱりとした後味を楽しめるヤリイカは、高級食材としてススキノのすし店などで多く扱われてきました。
しかし、年明けから新型コロナウイルスの感染者が再び増えています。北海道がまん延防止等重点措置の対象となった1月27日の前日の取引から、市場では買い手が目立って減っています。業務用が中心のヤリイカは、需要の縮小が目立つ魚種の一つです。「今、札幌の市場の中でヤリイカを高値で引き込む力が乏しくなっています。1月下旬からは供給量も増えてきており、昨年より割安になってきています」(広瀬さん)。1月初めは1キロ2千円近かった卸値も、1200円ほどになっています。
10年前は北海道産だけで10万トンを超える漁獲があったスルメイカに対し、ヤリイカは青森県産と北海道産を合わせても数千トンと規模がまったく違いました。
ところが、スルメイカの漁獲が減少する中で、ヤリイカとの価格差も縮小してきています。
冬に旬を迎える「もう一つのイカ」。業務用需要が少ない今は、家庭でも試してみるチャンスかもしれません。筆者も市場での取材後、さっそく鮮魚店に向かいました。
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