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<備えて安心 道新みんなの終活フェア>セミナー講師に聞く(上)

 人生終盤の準備である終活という言葉をよく聞くようになりました。しかし、やることは多岐にわたるうえに、認知機能が失われると、できることは限られます。何から始めたらいいか、戸惑う人もいるでしょう。北海道新聞社は2月19、20日、「道新 みんなの終活フェア~人生をいきいき過ごすための学びの場~」を札幌市中央区のロイトン札幌で開きます。開催に先立ち、セミナーで講師を務める弁護士や介護など専門家6人の提言やポイントを2回にわたって紹介します。

■相続 生前の備えで負担軽減
「財産を正確に把握することの難しさ、重要性」
小林雄志税理士事務所(札幌市中央区)税理士・小林雄志さん(47)

 親や配偶者が亡くなった後、直面する問題が相続です。誰がいつまで、どのくらいの相続税を払うか不安を感じる人もいるでしょう。そのためにも財産を把握しなければなりませんが、実は意外と難しいのです。

 ネットで銀行や証券会社に口座を設ける人も今や多いでしょう。それらの情報は、パソコンの中に入っています。取引のある金融機関を家族に知らせておかないと、存在すら分かりません。エンディングノートなどに取引のある金融機関、パスワードなどを記入しておくことを推奨します。

 財産額の評価も大変です。課税財産の総額を知るには、土地や建物の不動産価格を把握する必要があります。専門の不動産鑑定士に依頼すれば、不動産価格によって多額の費用が掛かります。無料ではないことを覚えておいてください。

 知っておくと得になることも多々あります。相続で取得した空き家を売却する場合、譲渡所得から3千万円を控除できる特例制度があります。適用するには細かな要件が必要ですが、相続の発生から3年を経過する年の12月31日までの売却が対象です。専門家でなければ分からない情報です。

 生前の備えで、100万円前後もの負担軽減につながる例は意外とあります。「対象になりそうかな」と思えば、ぜひ税理士に気軽に相談してみてください。

■住み替え検討 元気なうちに
「自分に合った『終(つい)の住まい』を選ぶために~高齢者向け住宅の種類や違いを知ろう~」
認定NPO法人シーズネット(札幌市北区)シニア住まいのアドバイザー・西原桂子さん(84)

 介護が必要になった時に備え、高齢者向けの住まいへの住み替えを考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、種類や特徴はさまざまで、分かりづらいと思います。

 高齢者の住まいは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどの「住まい系」と、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの「施設系」に大きく分けることができます。特にサ高住と有料老人ホームは増加しており、住み替えを考える上で主な選択肢となります。これらの住まいでは、みとりまで対応するところも増えています。

 サ高住は職員が日中常駐して安否確認や生活相談を行いますが、介護が必要になった時は外部の介護サービスを利用します。有料老人ホームには職員が介護を行う介護付きや、サ高住のように外部のサービスを利用する住宅型があります。

 同じ種類の住まいでも入居や退居の条件、入居費用などは異なります。複数の住まいを見学し確認してください。希望がすべてかなう住まいはありませんので、優先順位をつけましょう。住み替えてから後悔しないためには、自分の意思で決めることが大切です。

 今は健康でも、加齢に伴って体は衰えていきます。住み替えの検討や見学は、できる限り元気なうちに始めましょう。

■遺言書 トラブルの発生防ぐ
「遺言書作成の利点、相続でもめないために」
アンビシャス総合法律事務所(札幌市中央区)弁護士・日西(ひにし)健仁さん(36)

 遺言書があると、自分が生涯にわたって築き上げた財産を自分の希望に沿って受け継がせることができます。ただ、遺言書の意義はそれだけではありません。

 遺言書があって、残された家族から「よかった」「助かった」という言葉をよく聞きます。遺言書がなくても相続人は遺産を相続するのですが、親族間でも遺産の帰属や評価を巡って争いになることは多々あります。その場合、相続人全員からなる遺産分割協議を開かなければなりません。協議を行っても解決できなければ、調停などの裁判上の手続きに移り、数年を要する例も少なくありません。

 遺言書があれば、トラブルの発生を未然に防ぐことができ、預金の払い戻しや不動産の名義移転などの手続きで無用な手間を省くといった利点があります。人生を振り返り、財産をもれなく承継させることができる遺言書の活用をぜひご検討ください。

 遺言でよく利用されているのが、自ら手書きする自筆証書遺言と公証人に作ってもらう公正証書遺言の二つです。自筆証書遺言は、法的に不備な内容となって無効とされるリスクがあるので、その心配がない公正証書遺言がおすすめです。

 正確に誤りなく文章を書き残すことは意外と難しいものです。法律家の助言も得て、安心できる遺言書をぜひ残してください。(編集委員 升田一憲、熊谷和喜)

■終活フェア 札幌で来月19、20日

 2月19、20日午前10時~午後5時、ロイトン札幌2階(札幌市中央区北1西11)。入場無料。

 高齢期の住宅選びやフレイル(虚弱)予防、遺言・相続への備えなどについて、専門家がセミナー(計20講座、各45分)で解説します。特別講演では、直木賞作家の桜木紫乃さん、将棋の元プロ棋士で投資家の桐谷広人さんが、終活を楽しむ方法を語ります。会場に住宅関連や仏具店、金融機関などのブースも設けます。申し込み方法、開催時間などの詳細は、ホームページを参照してください。

 問い合わせは、道新みんなの終活フェア事務局(オールプロデュース)(電)011・215・1787(平日午前9時30分~午後5時30分)へ。

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