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暮らしと法律

うっかり違法ダウンロード! うっかり権利侵害? ユーザーもクリエーターも気をつけたい改正著作権法のポイント

写真はイメージです by iStock
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 ネットサーフィンをしていると、お気に入りの漫画の最新巻が! 思わず読みたくなりそうですが、ちょっと待って。それ、違法ダウンロード(DL)かも。2020年に著作権法が改正され(21年1月1日施行)、ネット上の海賊版対策が強化されました。違法、適法の線引きや注意点は? 札幌弁護士会の川上大雅弁護士・弁理士に「クリエーターはもちろん、インターネットを使うだれもが知っておいてほしい」ことを聞きました。(聞き手 田中徹)

■すべての違法コンテンツのDL、刑事罰に

 ――改正著作権法では、それまでの音楽、映像に加え、違法にアップロードされた漫画や雑誌、写真集、論文といったすべての違法コンテンツを違法と知りながらDLすることが違法とされました。またリーチサイト、リーチアプリの運営者・提供者に対して、刑事罰が課されることにもなりました(10月1日施行)。※リーチとは「leech」で、動物のヒルから転じて「他人を食い物にする」ことの意。「リーチサイト、リーチアプリ」はユーザーを著作権侵害コンテンツに誘導するサイト、アプリを指す。

 ユーザー側としては、当たり前ですが海賊版サイトを利用しないことがなにより大事です。しかし、例えば友人から送られてきたURLやSNSでバズったサイトを訪れ、知らず知らずにDLして犯罪に加担してしまうことも起こりえます。海賊版と知りつつDLすれば違法となります。まずは、著作権に関する規制がDLまで及んでいる、DLが違法になる場合がある、ユーザー側、受け手の側まで規制が及んできているということを頭に置いておいてほしいと思います。


 ――作り手側に影響はありますか?

■コンテンツの出どころに注意、権利者への連絡も大切

 私の場合、クリエーター、創作者側からの相談が多いのですが、現在では何かを作るときに、他人のコンテンツを参考にする、素材にするということを避けて通れない時代となっています。参考にする他人のコンテンツ一つ一つの出どころが違法か適法かに、より注意深くならなければなりません。改正著作権法に関係ない話ではありますが、フリー素材だと思って使ったら実はフリーではなく後に海外からものすごい請求がきた、という事例もあります。

 著作者の許諾を得ることを恐れないこと、権利者に連絡することを恐れないことが大事です。繰り返しとなりますが、現代の創作では、他人の著作物、コンテンツに関わらないことはほぼありえません。私が相談を受けたケースでも、大手企業にカタログの二次使用の許諾を求めたところ、快く無償で提供していただいた事例もあります。それぞれのコンテンツにちゃんと向き合って筋を通すことが大事です。

 ――今回の改正著作権法をどう評価していますか。

 法改正は「漫画村事件」に代表されるような海賊版対策がきっかけです。正当なコンテンツには正当な対価を支払いリスペクトすることが、文化を守り育てることになります。著作物、コンテンツが広まりやすい、容易に複製もできる世の中では、創作者を守るためには規制も強化しなければいけない側面もあります。その流れの中でできた法律でしょう。そういう意味で仕方のない部分もあるとは思います。


 一方で、違法ダウンロード規制は、悪いことに加担してしまったとはいえ、創作に寄与していないユーザーの側まで処罰を及ぼすものです。これは厳しい法律だとも考えられます。適用、運用の問題でこれまで摘発例はほとんどありませんが、将来はもっと厳しくなるかもしれません。

■ネット・SNSの発達で思わぬ指摘が増加

 ――インターネット、SNSの発達、インフラ化で、著作権に関わる問題は一般ユーザーにも関わってきそうです。

 インターネットやSNSが発達することで、著作権侵害の特徴も変わってきました。創作物が出来上がって公表した後に思わぬ指摘が来る、ということが増えました。あるいは自分の作品が思わぬところで使われていた、ということも増えています。インターネット以前は、お互いに気づかないことが相当あったのだと推測されます。現代ではそうしたことが全て気づかれるようになりました。

 また、誰でも気軽に著作物を使用できるようになっています。コピペ、スクショといった風に、しようと思えば簡単に著作物を複製することもできます。ツイッターのアイコンに芸能人の顔やイラストを使用することなど、趣味の範囲内でやっているようなことだって、形式的には著作権侵害になりえます。現状はお目こぼしにはなっていることも多いですが。

■プラットフォームの規制・ルール、法整備に先行

 ――法整備が後追いになっている、または現実とマッチしていないということですか。

 著作権法とはややずれますが、巨大プラットフォームによる規制、それぞれのルールの問題もあります。最近、多いのは、掲示板などに書き込まれた自己に不利益な情報や誹謗中傷の削除依頼やコントロールに関する相談です。これらは裁判や法律とは違うところで、それぞれのプラットフォームを相手に交渉しなければなりません。

 グーグル、ヤフー、ユーチューブやツイッターなどは、アダルトコンテンツや暴力的とされるもの、当局情報に基づかないデマとされるコンテンツをそれぞれ自主的な基準に基づいて表示しなかったり、削除したりを決定していっています。個人情報の扱いもそれぞれです。これらプラットフォームが決めた自主的なルールが法律的に機能していることが現代の特徴です。法規制はその後追いにもなっています。一企業の判断が社会に大きな影響を持つようになっているのです。表現の自由とも関係する問題で、こうしたことにも今後、注意が必要でしょう。

 <川上大雅(かわかみ・たいが)弁護士> 1980年、札幌市生まれ。札幌北高、北大法学部、大学院法学研究科、法科大学院を経て2008年に弁護士登録。併せて弁理士の資格も持つ。北大などで講師も務める。趣味はスキー。事務所にはギャラリー「salon cojica」を併設。作家の支援を行っている。「なえぼのアートスタジオ」運営メンバー、東京芸大大学院映像研究科が主催する映像ドキュメンタリスト育成事業「RAM Association」にも参加。妻と長男長女の4人暮らし。近著に「駆け出しクリエイターのための著作権Q&A」(玄光社)。

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