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絶望とユーモア

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米国中西部ミネアポリスの画家養成学校職員、フリーダ・メイ・リッチは生まれつき背が低く27歳になっても身長は120センチだった。からかう者もいたが、聡明(そうめい)な彼女は機知に富み周囲を魅了した▼とりわけ仲が良かったのがチャールズ・シュルツだ。2人は頻繁に互いの席を行き来した。卓上で頬づえをつくフリーダ。床に届かぬ足。その姿は世界で最も愛された犬スヌーピーの漫画「ピーナッツ」に登場する2・5頭身キャラクターそのものだった▼作者のシュルツがまだ無名の1948年のことだ。「背丈は低いが精神は高かった」と周囲が語るフリーダが、自己憐憫(れんびん)に陥らず侮辱やいじめを克服するスヌーピーの飼い主、チャーリー・ブラウンを形作ったと評伝で知った▼シュルツは残酷な子供の世界をユーモアで包んだ。虚栄心や承認欲求と絶望や不信感の間で乱れる複雑な空間だ。チャーリー・ブラウンが時折見せる空っぽの視線に読者が共感したのは、そんな困惑を覚えているからだろう▼子供は行動抑制機能をつかさどる前頭葉の発達が未成熟。細い線の上を歩く子供に手を貸すのは大人の役目である。子供の事件を見聞きするたびそう思う▼チャーリー・ブラウンは言う。「ぼくは人から期待されるような感じ方ができないんだ」。きのうは、シュルツの生誕99年の日だった。生きていればどんなユーモアを描いてくれただろうか。2021・11・27

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