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<デジタル発>コロナ禍 増える孤独死 特殊清掃の現場に同行

 孤独死や自殺した人の遺体が見つかった場所を清掃し、部屋の原状回復などを行う「特殊清掃」という仕事がある。昨年の新型コロナウイルスの感染拡大以降、人と人が会う機会が減ったことで遺体の発見が遅れ、思わず目を背けるような現場も増えているという。「それでも誰かがやらなきゃいけない」―。死の痕跡と向き合い続ける特殊清掃員に同行した。(文/報道センター 岩内江平、写真/写真部 大石祐希)

男性が孤独死した部屋を掃除する特殊清掃員
男性が孤独死した部屋を掃除する特殊清掃員

■直視できない光景

 「ここはレベル3です」。10月下旬、札幌市北区の3階建てのアパート前。特殊清掃を行う市内の清掃会社「ピースクリーン」の千葉光廣社長(55)は、険しい表情でこう話した。同社は、現場の状況を汚れなどの程度に合わせてレベル1~5の5段階で分類しており、レベル3以上は作業にガスマスクが必要になるという。

 3階の一室に住んでいたのは、70代の独居男性だった。9月上旬、隣室に住む男性(58)から「異臭がする」と連絡を受けた不動産管理会社の社員が遺体を発見した。死後3週間がたっていたことに加え、残暑の暑さで腐敗が相当進んでいた。隣室の男性は「ドアの外側にびっしりとハエがたかり、においもすごかった。孤独死だったと聞いたが、自分も独り暮らしなので人ごとじゃないと思った」と不安そうに話した。

 この日の現場を担当するのは、特殊清掃の専門資格「事件現場特殊清掃士」を取ったばかりだという海津貴紀さん(35)ら2人。不動産管理会社から男性の死因はコロナではないと聞いているが、コロナ以外のあらゆる感染症リスクを考慮しなければならない。2人は防護服、ゴーグル、ガスマスクを装着し、ゴム手袋を2枚重ねた。記者とカメラマンも同じ装備を着けさせてもらった。ガスマスクが顔にぴったりと密着し、息が苦しい。

 ドアの前で手を合わせ部屋に入ると、これまでかいだことのない、鼻の奥に突き刺さるような刺激臭がガスマスク越しでも伝わってきた。「レベル5だと素人は1分もいられない」(千葉社長)という。においやウイルスなどを近隣にまき散らなさないよう、玄関のドアはすぐに閉められた。

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