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<今金 ブランドイモを磨け>上 品質管理徹底 GI登録

 9月下旬、東京のデパート玉川高島屋が開いた「秋の大北海道展」。旬の秋サケやカボチャ、銘菓がずらりと並ぶ中、あるジャガイモが飛ぶように売れた。

 檜山管内今金町産の「今金男しゃく」。ライマン価と呼ばれるでんぷんの含有率が13・5%以上で、高いもので18%と通常の1・5倍近くある。ほくほくとした食感と甘みが特長だ。

 道内各地でとれたジャガイモ9種類を用意し、出展した空知管内南幌町の農業法人「野楽(やがく)」の西浦貴史社長は「今金男しゃくは断トツ人気。買った翌日に再び訪れた客もいる」と驚く。

 「『いまきん』って何?」。以前はこう聞かれるほど知名度が低かった今金町のジャガイモが注目を集めるのには訳がある。

■道内で3例目

 伝統的な生産方法や気候、土壌が高品質を生む特産品について、農林水産省が知的財産として認める「地理的表示(GI)保護制度」に登録されたからだ。GI入りは不正表示の排除にもつながり、道内では夕張メロン、十勝川西長いもに続いてお墨付きを得た。

 町内でジャガイモの作付けが始まったのは1891年(明治24年)。数品種を育てていたが、今金町農協が寒暖差の大きい気候に適しているとして1953年、男しゃくに一本化した。

 当時は道外の市場に出荷すると、暑さや長時間輸送のため腐食や傷で苦情が相次いだ。他の農協は出荷し直していたところを、組合長が「どこが悪いか教えてほしい」と現地に出向き、確認に追われるほどだった。

■苦い経験ばね

 この苦い経験をばねに、農協は徹底した品質管理に取り組む。種イモになる前の「原原種」は、後志管内真狩村と胆振管内安平町の各種苗管理センターで保管。種イモと食用イモが交ざらないよう、生産農家を分離し、病害虫から守るため、同じ畑では3年おきに作付けした。

 選別は手作業に加えて光センサーや自動選別機を使い、さらに箱詰めした後も、人の目と手で規格外を取り除いた。

 何倍もの労力と時間を必要としたが、組合員らは統一基準に向けて一致団結。現在の生産者は95戸、作付面積も約370ヘクタールになった。

 「ほかではやらない工程を知ってほしい」。今金町農協管理課の菅原義高課長は、GI登録を目指した理由を語る。農協に残る資料を集め、栽培の歴史や管理法を2年かけてまとめると農水省に申請。19年9月に吉報がもたらされた。「手間を掛けたことでブランドになった。先人たちの苦労も報われた瞬間だった」

 人口5千人足らずの町がつかんだブランドイモ。その人気を全国区に押し上げた別の「立役者」がいる。
(せたな支局の塩野洋が担当し、3回連載します)

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