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インフォメーション 長期インターンシップ「M―PRO」の詳報

 7月から10月まで行われた長期インターンシップ「学生による企業の魅力発信プロジェクト(M-PRO)」の発表会が10日、札幌市内の北海道大学学術交流会館小講堂で開かれた。

 M-PROは札幌商工会議所と北海道新聞社が共催し、道内5大学の2、3年生32人が参加。学生に与えられた課題は地元企業9社の採用PR動画を作ること。発表会はコンペ形式で担当する9社9チームが8分間ずつ、プレゼンテーションを行った。

 完成した動画の出来と合わせて大学教員や企業関係者らが審査した結果、最優秀賞に輝いたのは北海道歯科産業(札幌)を担当した北海学園大学経営学部2年の尾田歩奈(あゆな)さん(19)、白幡来幸(ここ)さん(19)、中川遥奈(はるな)さん(20)のチームだった。ただ、どのチームもレベルが高く、非常に僅差だった。発表会の様子を収録した動画はM-PROの公式サイトで11月10日から公開する。

■若者世代への訴求力高め4年目

 このインターンシップ事業は、地元企業の魅力を大学生に知らせ、人材流出を食い止める取り組みとして2017年度に開始。18年度は「プロジェクト180(ワンエイティ)」と銘打ち、企業と学生が新規事業に180日間本気で取り組むことを掲げた。19年度から名称を「M―PRO」に変更し、企業の採用パンフレットを作った。20年度からは動画制作を課題に据え、若い世代へ訴求力を高めている。

 21年度は札幌大学、藤女子大学、北海学園大学、北星学園大学、小樽商科大学の学生が参加した。ゼミ単位のエントリーに加えて、今回初めて個人の参加申し込みがあった。このため1チーム3~5人の大学混合チームも編成した。キックオフ・ミーティングは7月3日、オンライン会議システム「ズーム」で開かれ、インターンシップがスタートした。

■コロナ緊急事態宣言下で制約も

 受け入れ企業は、アイビック食品(札幌)、セーフティガード警備(札幌)、エコテック(札幌)、リッジワークス(札幌)、丸水札幌中央水産(札幌)、ハイテックシステム(恵庭)、メディア・マジック(札幌)、北清商事(札幌)、北海道歯科産業(札幌)の9社。経営者や社員が学生のインタビュー取材や職場の撮影などに協力した。

 新型コロナ禍で緊急事態宣言が発令される中、直接的な取材を制限される場面も多々あった。学生たちはオンラインでの打ち合わせも交え、TwitterなどのSNSもフル活用しながら、企業の魅力を3分以内の動画に落とし込むミッションに挑んだ。

■キーワード「心臓」で魅力発信

 10月10日の発表会では、9チームのなかで最後にプレゼンを行った北海道歯科産業・北海学園大チームが最優秀賞に。歯科卸売業は法人を対象にした事業を行う「BtoB企業」のため、消費者にはなじみが薄い。事業の中身も機器販売だけでなくメンテナンスや開業支援など多岐にわたる。学生たちは「歯医者さんにとっての心臓のような役割」であることに目をつけ、キーワードを「心臓」として動画作りに取り組んだ。インタビューした社員数は延べ40人にも及んだ。取引先の歯科医院も取材した。学生と企業の打ち合わせは17回を数えたという。

 完成した動画は社員の言葉を丁寧に拾い、キーワードの「心臓」を中心に据えて、明るい雰囲気でまとめた。字幕をあえて手書きの文字にし、人間関係の「温かさ」を演出する効果を狙った。

 プレゼンでも「心臓」というキーワードに徹底的にこだわり、かみ砕いた言葉で自身が理解を深めた内容を伝えた。3人の女子学生は受賞の瞬間、涙を流して喜んだ。尾田さんは「最初は何も知らないところから始まって、取り組む中で歯医者さんにとってなくてはならない存在であることが分かってきた」と振り返った。白幡さんも「BtoBなので自分たちの目に見える企業ではなく、最初は魅力を感じにくかったが、縁の下の力持ちであることがよく分かった。協力してくれた全ての人に感謝したい」と話した。

■ギリギリまで修正加える努力

 一方、優秀賞に選ばれたのは、北清商事を担当した北海学園大経営学部2年の高橋涼夏(すずか)さん(20)、田村淳人(あつと)さん(19)、新山奏多(かなた)さん(20)のチーム。動画はモノクロのタイムラプス映像でドキュメンタリー番組ふうにアプローチし、ドローンを使った空撮なども取り入れるなど、クオリティーが高かった。

 印象的だったのは受賞発表の際に悔しそうな表情を見せたことだ。受賞後のインタビューで田村さんは「できれば最優秀賞を取りたかった」と本音を明かした。最後のギリギリまで修正を加え、より良い内容にする努力を重ねていたことがうかがえた。

■講評「一皮むけて大人になった」

 指導教員として全体を講評した佐藤大輔北海学園大経営学部教授は「2年生は入学した時からオンライン授業という世代だが、企業に足を運んで調査し、企業の魅力・価値をしっかり考え、自分なりに咀嚼(そしゃく)して表現しようとしていた。動画の出来はどのチームも非常にクオリティーが高かった」と指摘した。

 札幌大学の梅根嗣之地域共創学群経済学系教授は「学生にはワクチン接種の副反応で動けないという厳しい局面もあったが、最後のほうは徹夜で作業するなど頑張っていた。みなさん一皮むけて大人になったなという印象です」と学生たちの努力をねぎらった。

 藤女子大の和田雅子人間生活学部教授は「就活では大企業に目が向きがちだが、地元の中小企業にどんな魅力があるのかを考える上で大変いい機会になったのではないか」と述べた。

■貴重な経験「将来に役立てて」

 最後に主催者を代表し、札幌商工会議所人材確保・活用委員会の武藤修委員長=丸水札幌中央水産社長=が「学生のみなさんの涙を見て、あらためてM-PROをやって良かったなと感じています」と総括。さらに武藤委員長は「9チームが制作した動画はどれも昨年度よりさらに洗練され、独創性にあふれていた。コロナ下で企業訪問や撮影作業を思うように進められず、困難もあったが、この貴重な経験がそれぞれの将来のビジョンに役立つことを願っている」と述べ、3カ月間にわたったインターンシップを締めくくった。

 学生たちが作った動画は、M-PROの公式サイト(https://mpro.hokkaido.jp/#)で公開されている。この動画を企業側は自社の採用活動に生かすことも想定。こうした一連の取り組みは、単なる就活の枠を超えた実践的キャリア教育としても注目だ。(編集委員 長谷川賢)

「M―PRO」の最優秀賞決定

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