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<訪問>「ねじねじ録」を書いた 藤崎彩織(ふじさき・さおり)さん

バンド以外の自分伝わる言葉で

 2010年に音楽シーンに登場、活躍を続けるバンド「SEKAI NO OWARI」でピアノやライブ演出、作詞、作曲などを担当する。「バンドのSaori(サオリ)以外の自分に光が当たるチャンスがなかったので、本当はこういう自分もいるのにっていうフラストレーションを抱えていた」といい、育児や仲間、食から性教育まで、思いをまっすぐにつづった。

 タイトルの「ねじねじ」は「ライブ後、私が難しい顔をしているのをメンバーのFukase(フカセ)くんが見て『いっつもねじねじ考えてるよね』と言われ、面白い言葉だなと」。一生懸命やろうと思っているのにうまくいかず、ああでもない、こうでもない―という擬音だと感じた。

 中学生のころから日記をつけている。それは「怒りで我を忘れたり、悲しみにのまれたり、どういう時に自分がそうなるのかを把握したいから」。自分をコントロールしづらい環境ほど文章にして残す。「こういう時はこう考えてるんだと後から俯瞰(ふかん)するのは面白い。それを(エッセーとして)他人に読んでもらう時には、伝わる言葉を探さなきゃいけなくて」。エッセーを書くことは「最も自分に近い言葉を探していく作業だった。それは、自分にとっても救いになったなと思います」。

 2017年に結婚、出産。それ以前と以降で、ものの見方や考え方が大きく変わった。「生きていく力みたいなものがすごく強くなった」という。「バンドメンバーといて、夫や子どもがいて、音楽の仕事をして。選んだ環境が自分らしさにつながっている。でも、もしこれがすべて変わったら、きっと今の自分ではいられなくなる」と、周りの人が今の自分を形作ってくれたことを確信している。

 東京在住の35歳。17年に刊行した小説「ふたご」が直木賞候補になった。「以来、小説にも挑戦し続けていますが、まだ形にはなっていません」。11月からのライブツアーを控えるが「本当にできるか半信半疑」だそう。人数制限は、演出は、と、ねじねじは続く。

編集委員 恵本俊文

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