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新聞週間 時代見据え考える糧に

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 秋の新聞週間が始まった。

 今年の代表標語は「答えなき 時代のヒントを 探る記事」だ。

 新型コロナウイルスの感染は予断を許さない状況が続く。

 米国と中国の対立が世界を揺さぶり、香港、ミャンマー、アフガニスタンでは強権的な支配によって著しく人権が侵害されている。

 深刻化する気候変動は地球をむしばみ、頻発する自然災害が牙をむき、生活を脅かしている。

 不確実さを増す世の中で日々の重要な出来事を報じ、意味するところを掘り下げる新聞の役割は大きいと考える。時代を見据え、地域や国の将来を考える糧となる紙面作りを今後も心がけてゆきたい。

 イタリアの作家パオロ・ジョルダーノさんはコロナ禍初期のエッセー集「コロナの時代の僕ら」(早川書房)にこう書いている。

 「感染症の流行時、透明性の高い情報は単なる権利ではなく、必要不可欠な予防手段だ」

 ワクチン接種を巡る偽情報がネットを通じて拡散し、人々を惑わせている。コロナ禍で、正確な知識を身に付けることの大切さを痛感した方は多いのではないか。

 ウイルスの性質、感染状況、専門家の見解―。多角的な情報に接することで、楽観せず、また必要以上に恐れたり悲観したりすることなく日常を過ごしたい。

 逼迫(ひっぱく)する医療、自宅療養を続ける感染者の不安、苦境に追い込まれる飲食店などもメディアがその実情を取材し、伝えることでコロナ危機の全体像が可視化される。

 しかし菅義偉前首相はそうした現場の声を受け止め適切に手を打ったとは言えず、支持率の低下を招いて退陣に追い込まれた。

 記者会見や国会答弁で素っ気ない説明を繰り返したのは、記者や野党議員の背後にいる国民との対話を軽視したことの表れだ。

 今週、衆院選が公示される。

 選挙後の政権の枠組みにかかわらず、説明を尽くして国民と向き合う姿勢を貫いているかどうか目を凝らしていかねばならない。

 今年のノーベル平和賞は、強権政治にあらがいながら調査報道を続けてきたロシアとフィリピンの記者2人に決まった。ジャーナリズム活動への平和賞授与は第2次大戦後初めてとなる。

 知る権利とそれを保障する報道の自由は民主主義の礎だ。しかし専制主義的体制の下で言論弾圧を強める国が増えている。

 その中でも命がけで真実を追求する記者がいることを胸に刻み、かがみとしなければならない。

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