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衆院選道内情勢

 衆院が14日に解散され、19日公示―31日投開票の衆院選へ号砲が鳴った。解散から公示までわずか5日間。道内では各党が12小選挙区と比例代表道ブロック(定数8)の議席を争う。自民、公明の与党は解散前の10議席からさらなる上積みを狙う。立憲民主党を中心とする野党陣営は九つの小選挙区で候補を統一し、事実上の与野党一騎打ちの構図となる。与党と共闘野党のどちらが道内過半数を取るかが焦点となる。(敬称略)

■名簿の見方
 立候補予定者は14日現在。並びは公示前の勢力順。敬称略。前回の得票状況の所属党派は当選時のもの
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氏名 年齢 党派 [ ] 前 ○ 肩書
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・党派の略称 自=自民党、立=立憲民主党、公=公明党、共=共産党、維=日本維新の会、国=国民民主党、N=NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で、無=無所属
・自民党派閥の略称 細=細田派、竹=旧竹下派、麻=麻生派、二=二階派、岸=岸田派、空白は所属未定
・前職・元職・新人の別
・○は当選回数
・肩書 [元]は前職を含む


■1区 船橋、道下の再対決が軸
船橋 利実 60 自麻 前《2》[元]財務政務官
道下 大樹 45 立  前《1》 党道連副代表
小林  悟 57 維  新    医療法人理事長


 立憲民主党の道下と自民党の船橋の再対決が軸となる。道下は元衆院議長横路孝弘から受け継いだ地盤を固められるか、船橋は2012年以来の選挙区勝利を果たせるかが焦点。解散数日前に日本維新の会の小林が出馬に名乗りを上げた。

 道下は3期務めた札幌市西区選出の道議を辞職して臨んだ前回、横路後継を前面に押し出し、共産党支持層にも広く浸透して初当選。今回も横路の全面支援を受け、公示後は二人三脚で選挙戦に臨む方針。

 陣営は高齢化が進む横路支持者のつなぎ留めに加え、子育て世代の支持獲得が鍵を握るとみて、商業施設前や地下鉄駅前での演説に力を入れる。先月末には党代表枝野幸男とのオンライン対談をインターネット配信するなど、ネット活用で無党派層にも訴える。

 船橋は前回、道下に約1万8千票差で敗れ、比例復活した。今月までの1年間、財務政務官を務め、新型コロナウイルスの経済対策やワクチン接種などの予算対応に当たった実績を街頭演説などでアピールする。

 10日には国民的人気の高い党広報本部長河野太郎と中央区の狸小路商店街を歩くなど、若者層の取り込みも意識する。一昨年発覚した統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、当時の後援会幹部から受領した政治献金の説明不足を指摘する声が依然残る。

 4月の衆院道2区補欠選挙で落選した小林は、今月10日に維新からの出馬を表明。知名度向上に全力を挙げる。

■2区 高橋 知名度向上がカギ
高橋 祐介 41 自 新   [元]衆院議員秘書
松木 謙公 62 立 前《5》[元]農水政務官 
山崎  泉 48 維 新   [元]道議


 4月の補欠選挙に続き6回目の当選を目指す立憲民主党の松木に、自民党の高橋が挑み、日本維新の会の山崎が絡む構図となる公算が大きい。共産は補選に続き、候補を擁立しない見通し。

 鶏卵生産大手元代表から大臣在職中に賄賂を受領したとして収賄罪で在宅起訴された元農水相の吉川貴盛=公判中=の議員辞職に伴う補選で、自公が候補擁立を断念。松木が主要野党の統一候補として圧勝した。

 松木は野党共闘が緩まぬよう引き締めを図る。補選後には保守層の取り込み強化へ自身の企業後援会を再編した。スーパーや商業施設前などでの街頭演説は緊急事態宣言解除後の今月2日に再開。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済回復策として消費税減税のほか、国連の持続可能な開発目標「SDGs」達成への取り組み推進も訴える。

 高橋は札幌市豊平区出身の元団体職員で、自民党の衆院議員長尾敬(大阪14区)らの秘書を務めた経験を持つ。補選後の7月、党道2区支部長に選任された。知名度向上がカギで、清新さを前面に地下鉄駅前などで新型コロナ感染症対策などを訴え、党所属の道議や市議とともに党員らへのあいさつ回りを重ねて支持拡大を図る。

 元道議の山崎は4月の補選に出馬し落選。その後、街頭演説を続ける。教育の完全無償化や、新型コロナ流行により低迷する経済の対策として消費税減税を訴え、保守層、無党派層への浸透を狙う。

■3区 高木と荒井 保守票争奪
高木 宏寿 61 自二 元《2》[元]内閣府政務官
荒井  優 46 立  新   [元]高校校長
小和田康文 51 維  新    行政書士


 国政への復帰を狙う自民党札連会長の高木と、衆院解散直前に成立した野党共闘により野党統一候補となった立憲民主党の荒井の戦いが軸となりそうだ。

 高木は12年、14年の衆院選で荒井の父・聡に連勝したが、前回は野党共闘の成立によって一騎打ちとなり約2万3千票差で敗れた。雪辱を果たすため、企業、経済団体などの支持基盤を固めつつ、連日の街頭演説や会員制交流サイト(SNS)を通じた発信強化で、無党派層への浸透を図る。防災や安全保障政策などを幅広く訴え、地元の道議や市議との連携もアピール。「札幌市と道、国政をつなぐ議員は絶対に必要だ」と繰り返し強調する。

 荒井は現職だった父から地盤を引き継いだため、党内外に「世襲」批判があることも踏まえ、札幌新陽高校長やソフトバンク社長室勤務などの実績を打ち出す。街頭演説などでは「子どもが未来に希望を持てる国をつくりたい」と語り、学校教育改革などを訴える。教育や若手経営者など独自の人脈で支持拡大を図り、保守層を切り崩すために企業回りなどを強化する。共産党の候補取り下げを受け、反政権票の受け皿を目指す。

 国政選挙4回目の挑戦となる小和田は公平な世の中の実現を掲げ、教育無償化や「ベーシックインカム(最低限所得保障)」の導入などを強調する。「既得権益を打破して改革を進めたい」と訴え、高木、荒井の「世襲」についても批判する。

■4区 野党一本化で一騎打ち
中村 裕之 60 自麻 前《3》  農水副大臣
大築 紅葉 37 立  新    [元]民放記者


 4選を目指す自民党の中村に立憲民主党の大築が挑み、共産党の新人が絡む構図とみられていたが、共産は解散直前に大築を野党統一候補とすることに合意し、候補擁立を取りやめた。これにより、中村と大築による与野党一騎打ちとなりそうだ。

 中村は地盤の後志管内町村部で建設業を中心に支持を集める。岸田文雄内閣での農水副大臣就任も追い風に、1次産業関連の支持固めを狙う。陣営が課題とする札幌市西区、手稲区は企業や住宅への訪問を重ね、浸透を図る。高規格道路延伸や小中学生1人1台の情報端末配備など政権与党としての実績もアピール材料とする。

 中村は前回衆院選で10万票以上を得て当選したが、野党2人の得票を合計すると逆転されていた。中村は「一本化されると脅威になる」と語っており、陣営は一層の引き締めを図る。

 大築は、刑法の性犯罪規定見直しを巡る不適切発言で衆院議員を辞職した本多平直の後任候補として、8月に出馬を決めた。フジテレビ政治部記者として野党キャップを務めた経験があり、2児の母。出身地の小樽市、札幌市手稲区のリベラル層や子育て世代への支持拡大を念頭に、精力的に街頭演説などをこなす。

 課題は知名度不足。活動期間は2カ月と短く、広大な後志町村部を十分に回る時間もないが、野党候補一本化は陣営にとって朗報。大築は「自民党を追い詰められる態勢が整った」とアクセルを踏む。

■5区 「共闘の象徴区」崩れる
和田 義明 50自細 前《2》 [元]内閣府政務官
池田 真紀 49立  前《1》 社会福祉士
橋本 美香 50共  新    党道委員
大津伸太郎 56無  新    [元]会社員


 自民党の和田と立憲民主党の池田による3度目の対決が軸となる。道5区は2016年の補欠選挙から野党が共闘を続ける「共闘の象徴区」とされてきたが、今回は候補を一本化せず、共産党が橋本を擁立する。

 和田は官房長官や衆院議長を歴任した義父の故町村信孝から地盤を引き継ぎ、16年の補選と17年の前回衆院選で2連勝。昨年秋に内閣府政務官に就き、新型コロナウイルス対応の最前線を担ってきた実績をアピールする。ただ、政府のコロナ対応を巡っては批判も強く、この1年間は地元に帰る機会も減った。陣営関係者は支持者を回り切れていないことに焦りを募らせており、浸透を急ぐ。

 池田は16年補選では約1万2千票差で惜敗し、前回は約6千票差まで迫って比例復活した。今回は野党の競合で戦略の練り直しが急務となる。街頭演説では「誰ひとり置いてきぼりにしない社会」の実現を掲げ、子育て支援や介護に関する14本の議員立法に関わったことなどを訴える。無党派層が多い江別市や札幌市厚別区、自衛隊員が多く保守層が強い千歳市や恵庭市の浸透に力を入れている。

 橋本は野党候補一本化のため16年補選では出馬を取りやめ、前回も立候補を見送っている。今回が初の国政選挙への挑戦となる。昨年8月に共産公認候補予定者となり、経済・社会活動を再開しながら命を守るコロナ対策や、格差と貧困の是正などを訴え、比例の共産票の上積みも狙う。大津は7日に出馬表明した。

■6区 東と西川が国政で再戦
東  国幹 53 自 新  [元]道議
西川 将人 52 立 新  [元]旭川市長
斉藤 忠行 30 N 新  [元]NHK集金人


 前回衆院選で当選した元農水副大臣の佐々木隆博と、落選した元防衛庁副長官の今津寛が引退。2014年旭川市長選で戦った西川と東がそれぞれ後任となり、戦いの舞台を国政に変えて再び対決する。

 東は党内選考を経て昨年10月、党公認候補になった。旭川市選出の道議を5期途中まで務め、自民党道連副会長なども歴任した実績をアピールするが知名度向上が課題。管内23市町村のほぼ全てで後援会を立ち上げ、農協組合長らを会長に迎えるなど体制を整える。

 東は14年市長選で敗れたが、衆院選の前哨戦となった今年9月の旭川、士別の市長選はいずれも自民党推薦候補が立憲民主党推薦候補を下した。陣営は「管内には保守勢力に勝利の風が吹いている」と息巻く。

 西川は7月に出馬表明。道内第2の都市の市長を4期途中まで務めた知名度が武器だ。現在の6区は旧民主党と旧立憲民主党の候補が6回中4回勝利し、旧社会党の流れをくむ革新勢力の伝統的な強さがある。前回から共産党なども加わり野党共闘を突破口にする。

 だが西川は、新型コロナウイルス対策など市政課題に道筋をつけるため、市長を辞職したのは8月末。管内各地区の後援会設立を終えたのは今月上旬で、周辺は「自民に比べ活動は出遅れている」と認める。

 斉藤は4月の衆院道2区補選に出馬し、落選。今回は、旭川市で遺体で見つかった女子中学生へのいじめが疑われる問題を切り口にいじめ防止などを訴える。

■7区 5選狙う伊東 挑む2氏
伊東 良孝 72自二 前《4》 党道連会長
篠田奈保子 49立  新    弁護士
石川 明美 70共  新    [元]釧路市議


 5選を狙う自民党前職の伊東に、立憲民主党の篠田と共産党の石川が挑む。前回衆院選で比例代表道ブロック単独候補で当選し、7区からの出馬に意欲を示していた自民党の鈴木貴子(35)は、比例上位処遇される方向となった。前回共闘した野党側も、衆院解散直前に候補を一本化しないことを決めた。

 伊東は2度の農水副大臣を経験し、5月には2回目の党道連会長にも就任した。陣営は「5期なら大臣も見える」と必勝を期す。道東など太平洋沿岸の赤潮被害の判明直後に現地を視察するなど、ライフワークの1次産業振興や防災対策を訴える。課題は7区で出馬を目指していた鈴木陣営との融和。7区内で一枚岩となって戦えるかが焦点となりそうだ。

 前回、党公認候補擁立を見送った立憲は、弁護士の篠田が2019年6月に初出馬を表明。4人を育てた母親の視点から「生活者の立場に立った政治」を掲げ、生活困窮者の救済や労働問題の改善などを訴えてきた。野党共闘を目指す地元市民団体の呼び掛けで、これまで野党候補一本化に向け石川と一緒に街頭演説を重ねてきただけに、戦略の練り直しが急務となる。

 前回、野党統一候補として立った共産の石川は1996年に初めて立候補して以降、4度目の挑戦となる。新型コロナウイルス感染者の在宅死などが起きた自公政権下でのコロナ対策を批判し、「国民の命を守る政治をつくる」と街頭演説をこなす。

■8区 逢坂、前田 4度目の対決
前田 一男 55 自細 元《2》 [元]松前町長
逢坂 誠二 62 立  前《4》 党道連代表


 5選を目指す立憲民主党道連代表の逢坂に、国政復帰を狙う自民党の前田が挑む。共産党は前回と同様に野党候補を逢坂に一本化する見通しで、逢坂、前田の4度目の対決となりそうだ。

 過去の衆院選では2012年は前田、14年と前回17年は逢坂が勝利している。前田は前回、逢坂に約2万5千票の大差で敗れ、比例復活もならなかった。

 逢坂は国政活動と地元回りを並行させ、フットワークの良さをアピール。国会では大間原発(青森)の建設凍結に向けて政府に繰り返し質問してきた。確実に機能する避難計画がなければ、原発も稼働できないとする答弁を引き出したとして「建設凍結を後押しできた」と実績を主張する。

 新型コロナウイルス対策ではPCR検査の拡充などを訴える。党道連代表として他選挙区の応援にも入る予定で、陣営幹部は「8区内での活動が限られてしまう」と危機感を抱く。

 前田は政府・与党とのパイプを前面に打ち出し、支持基盤の1次産業や商工業者を中心に企業回りを行ってきた。前回は8区内の市を除く16町のうち、10町で逢坂の得票を上回っており、大票田となる函館市や北斗市などを重点的に回って票の掘り起こしを狙う。

 本州と道内を海底で結ぶ第2の青函トンネルの建設などインフラ整備の充実、災害時に海上で患者を治療する「病院船」の導入を主張。大間原発については建設凍結の立場で「政府に声を届けられる」と訴える。

■9区 堀井、山岡 激戦は必至
堀井  学 49 自細 前《3》 [元]外務政務官
山岡 達丸 42 立  前《2》 [元]経産委筆頭理事


 立候補を表明していた共産党新人が野党共闘のため出馬を取り消し、与野党一騎打ちの構図となりそうだ。2017年の前回衆院選で、約2万票差で小選挙区を制した自民党の堀井と、比例復活した立憲民主党の山岡による4度目の対決となる。野党が統一候補となったことで、激戦は必至だ。

 堀井は外務政務官などを経験した3期約9年の実績を強調するが、政府の新型コロナウイルス対策の迷走もあり、陣営幹部は「今回は追いかける選挙」と警戒する。共産党の出馬取り消しで、さらに厳しい展開が予想される。

 堀井は原発再稼働やカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の誘致など山岡陣営が一枚岩になりにくいテーマに積極的な姿勢を打ち出し、政権与党の公明党の力を借りながら野党共闘に対抗。地元に根ざした政治家としても存在感をアピールする。

 野党側は、前回衆院選の山岡の8万8千票と共産党候補の3万6千票を合わせると、堀井を約1万5千票上回る。山岡は前回に比べ有利な戦いとなる可能性があるが、「共産党アレルギー」が強い企業労組などの離反も予想され、企業系労働組合が強い地域でどこまで浸透するかが焦点。野党共闘の共通政策である新型コロナ対策の充実などを柱に政権選択を迫る。

 山岡陣営は党、連合などの組織に加え、山岡が個人的に培った苫小牧の経済人らの人脈も生かし、自民支持層への切り込みも図る。

■10区 「自公協力」の行方焦点
神谷  裕 53立 前《1》 [元]参院議員秘書
稲津  久 63公 前《4》 [元]厚労副大臣


 前回衆院選を513票の僅差で逃げ切った公明党の稲津と、比例復活した立憲民主党の神谷が、「自公連携の象徴区」で再び対決する。自公協力の一環で稲津に10区を譲ってきた前岩見沢市長で自民党の比例代表道ブロック前職の渡辺孝一(63)が、異例の4回連続の比例単独上位となるかも、選挙戦に影響しそうだ。

 稲津は自公連立政権が復活した2012年の衆院選から、10区の与党統一候補として3回連続で勝ってきた。前回までは渡辺が公示直前まで10区で無所属での出馬を模索したが、今回は自民党道10区支部が昨年11月に稲津の支持を決定。自公の協力体制が早々に確立し、稲津は自民党道議と連携して地域を回るほか、経済団体を中心に各地で後援会を設立し準備を整える。

 ただ、自民の支援者の間では今も、全道的な自公協力と引き換えに10区で自前の候補を出せないわだかまりは残る。自民党の原則では比例優遇は2回まで。渡辺の比例順位が下位となれば、自民支援者の不満が表面化する可能性もある。

 神谷は2回目の挑戦だった前回、公示直前で候補を取り下げた共産との共闘が実現し、初出馬だった14年の衆院選の約1万5千票差から一気に差を詰めた。引き続き共産と連携し、小選挙区での勝利を目指す。かつて神谷が秘書を務めた民主党元職小平忠正の当選を長く支えた空知農民連合が、前回の「支持」から「推薦」に格上げしたことも、農政通の神谷の追い風となっている。

■11区 元議員の妻2人再激突
中川 郁子 62 自二 元《2》 [元]農水政務官
石川 香織 37 立  前《1》 [元]アナウンサー


 再選を目指す立憲民主党の石川と、議席奪還を誓う自民党の中川の、2度目の一騎打ちとなる公算が大きい。石川の夫は元衆院議員の知裕で、中川の夫は元財務相の故昭一。かつて対峙(たいじ)した元衆院議員の妻同士の再対決となる。

 前回の選挙では、公民権停止中だった知裕に代わって急きょ石川が出馬。共産党が候補擁立を取り下げ、道11区で初の野党候補一本化が実現したこともあり、石川が約1万6千票差で勝利した。中川は比例復活もかなわなかった。

 石川は今回も、野党共闘で支持拡大を図る。自身が2児の母であることもあり、子育てや医療の充実を訴える。これまで国会で農業関連の質問を繰り返してきたこともアピール材料だ。「フットワークが軽い」(十勝管内の首長)とされ、9月から道東で赤潮が発生した問題では、被害が大きく報じられる前に現場を視察した。管内町村では後援会がまだない地域もあり、どれだけ訴えを浸透させられるかが課題となる。

 負けられない中川は、農業団体トップや元帯広市長らを連合後援会役員に据え、「これ以上ない」(自民党関係者)とされる重厚な布陣で臨む。前回に続いて新党大地の推薦も取り付けた。「与党の代議士が必要だ」と訴えることで、石川支持層の切り崩しも図る。17年選挙では、15年に週刊誌で報じられた同僚議員との不適切交際によって一部支持者が離れた。この間の活動で信頼を回復できたかが問われる。

■12区 武部陣営 緩みに警戒感
武部  新 51 自二 前《3》 農水副大臣
川原田英世 38 立  新   [元]網走市議
菅原  誠 48 共  新    党地区委員長


 前回衆院選で圧勝し、4選を目指す自民党の武部に、立憲民主党の川原田と共産党の菅原が挑む。今回も12区は野党が共闘する選挙区とならず、前回と同様に与党前職と野党新人2人が争う構図となる。

 武部は10月に発足した岸田内閣で農水副大臣に抜てきされ、党の中堅・若手有志による「党風一新の会」で代表を務めるなど存在感が増している。週末に支援者回りを重ねながら、今年3月には動画サイトに自身のチャンネルを開設。会員制交流サイト(SNS)でも発信を増やすなど、若年層への浸透も狙う。

 ただ、対立候補不在の期間が長く、陣営は支援者の緩みを懸念する。「『1票くらい』と票が流れるのが怖い」と警戒感を強めている。

 立憲は当初、札幌の道議の擁立を探ったが頓挫し、元々地元で名前が上がっていた川原田に白羽の矢が立った。若さと軽快なフットワークを生かし、離島を含む広い選挙区内を急ピッチで回る。網走市議を2期務めた経験や、2世議員の武部との違いを前面にアピールし政治の変革を訴える。

 出馬表明は9月19日と3人の中では最も遅く、知名度の低さが課題だ。「大票田の北見でほとんど名前が知られていない」(後援会幹部)のが現状で、支持拡大を急ぐ。

 菅原は今回が5回目の出馬となる。街頭演説などでは自公政権の新型コロナウイルス対策を批判し、「命と暮らしを守る政治」を訴える。

■比例代表 自民 渡辺巡り調整難航
【自民党】
鈴木 貴子35 竹前《3》 外務副大臣
渡辺 孝一63 岸前《3》 総務政務官
【公明党】
佐藤 英道61  前《3》 [元]農水政務官
荒瀬 正昭43  新    党道本部事務長
【共産党】
畠山 和也50  元《1》 党中央委員
伊藤理智子60  新    [元]札幌市議
【国民民主党】
山崎 摩耶74  前《2》 党道連代表
【れいわ新選組】
門別 芳夫60  新    自営業
【社民党】
豊巻 絹子66  新  党道連副代表


 定数8に6党が比例単独候補の擁立を表明している。前回の獲得議席は自民党と旧立憲民主党が3ずつで並び、公明党と旧希望の党が各1だった。その後、野党再編と立憲議員の辞職などを経て、衆院解散前は自民3、立憲3、公明1、国民民主1。

 自民は過去3回の衆院選で単独1位とされた渡辺の名簿順位を巡り、調整が難航。4回連続は党内に異論が強く、道7区への出馬を目指しながら比例に回された鈴木を上位処遇する方向で最終調整する。

 立憲は比例単独候補を上位に置かず、小選挙区との重複候補者の復活当選などで、少なくとも前回並みの議席獲得を狙う。

 公明は佐藤の4選に全力を挙げる。共産党は畠山の議席回復に総力戦で臨む。日本維新の会は小選挙区からの復活当選を視野に1議席獲得を目指す。国民、れいわ新選組、社民党も比例単独候補を擁立する。各党は候補者の追加を検討する。

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