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#選挙に行く?行かない? #大学生の疑問 一票、将来の自分に投資

 政権選択選挙と言われる衆院選が間近に迫っている。2016年から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、大学生は有権者なのだが、若者の投票率は低迷が続く。コロナ禍で思うような大学生活を送れず不満を募らせる中、学生たちは今回の選挙でどんな投票行動をとるのか。学生たちの声に耳を傾け、それに対して現代日本政治論の山本健太郎北海学園大法学部教授(43)に助言をもらった。

■政治あまり分からない 札幌学院大3年女子

 政治に関心を持たなければと思うが、あまり分からないというのが正直なところ。選挙イコール難しいものというイメージがある。大学生のうちは投票に行かない気がします。

■難しく考えすぎずに 山本教授

 若年層は高齢層に比べて社会との接点が少なく、生活に占める政治の割合も小さい。関心を持ちにくいのは構造的なもの。劣等感を持つ必要はない。ただ、学費や就職などの接点だけでなく子育てや年金の問題もいずれ自分に関わる。自分の将来への投資として投票を捉えてほしい。

 試験に模範解答があるのとは違って、選挙に正解、不正解はない。原則秘密投票で誰に入れたかは自分しか分からない。自己採点なので難しく考えすぎず、もっと気軽に要望を実現してくれそうな党や候補者を「よりまし」の視点で選べばいい。

■政策、高齢者向け多い 小樽商科大1年女子

 政治家が提案する政策は高齢者向けが多く、選挙に行くのも高齢者で、若者が投票しないとますます若者の考えは反映されなくなるという「負のループ」に陥っている。

■若者向け語っている 山本教授

 今の政治が高齢者中心に回っているという思い込みがある。選挙啓発に関わっている大人世代の責任でもあるが、実は若者向けの政策も語られているのに、小中学校や高校で若者の投票率の低さを強調し過ぎるせいで、逆に「どうせ高齢者のほうが人数が多いから」という無力感や思考停止になっている面がある。

 サッカーの試合観戦でオフサイドの説明から入れば面白くない。ボールの蹴り合いを見せるのが一番。だが教育現場では一生懸命ルールを教えようとする。政治も選挙制度ばかり教えてもつまらない。

■「変わらない」悲観的 北海道文教大3年男子

 投票しないで現状に文句を言うのは良くないと思う。でも自分の一票では何も変わらないと悲観的に捉えている人が多いのでは。

■要望を伝える手段 山本教授

 即効性の高い施策は短期的で高齢者向けのものが多い。一方、若者が期待するのは中長期的な課題の解決だ。気象変動などの環境問題もそうだし、この先この国は大丈夫か、就職した会社は存続するか、あるいは子育てや年金の問題も将来設計に関わってくる。ところが選挙は目先の利益に直結する公約に目が行きやすく、時間軸のずれでミスマッチになる。

 コロナで若者は我慢を強いられている。「高齢者のため」と言われて、けなげに協力している。これが続けば世代間の対立・分断になりかねない。若い人はもっと自分勝手で構わないと思う。要望を伝えるチャンネルとして選挙を使ってほしい。

 ネット投票の是非や推し政治家の選び方など山本教授の助言詳報はこちらからご覧ください。

■大学に投票所設置の動き

 前回衆院選(2017年)で18、19歳の投票率は40.49%、20代は33.85%だった。60代の72.04%に比べて低さが際立つ。若者の投票率を上げようと、大学キャンパス内に投票所を設置する動きが広がっている。

 道選管によると、前回衆院選では道内2大学(室蘭工業大、名寄市立大)に期日前投票所が設置された。19年の参院選では6大学に増えた。直近の選挙でも9月26日に実施された旭川市長選で旭川大に期日前投票所が開設された。22日の一日限りで143人が投票したが、学生は3人にとどまり、教職員ら大学関係者が10人、あとの130人は地域住民だった。同市選管は「リモート授業で学生が通学していなかった」と分析するが、どう周知するかなど課題は残る。(長谷川賢)

<略歴>やまもと・けんたろう 1978年、神戸市生まれ。2009年、東京大大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。13年に北海学園大講師となり19年から現職。専門は政治学。近著に「政界再編~離合集散の30年から何を学ぶか」(中公新書)

<取材後記> 選挙に正解はないという言葉が印象に残った。模範解答を求める学生は間違ったらヤバいと投票をためらうかもしれない。でも考えてみれば気象変動の対策も貧困撲滅も、あるいはジェンダー平等の実現も、すぐに答えが出るわけじゃない。それぞれ「自分なりの正解」を一票に託せばいい。(K)

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