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ペット保護の拠点、道の整備に遅れ 「愛護管理センター」全国で唯一未設置

 飼育放棄や多頭飼育崩壊、災害などで行き場を失ったペットを保護する「動物愛護管理センター」の開設が道内で遅れている。2019年成立の改正動物愛護法でセンターの業務が明記されて以来、全国で設置が進み、北海道を除く46都府県は既に運営している。関係団体は広大な道内には複数必要と訴えるが、道は予算の制約で困難とし、二の足を踏んでいる。

 道は現在、道内40カ所の道立保健所で犬猫の保護や譲渡を行っている。道が1年間に保護する犬猫は近年千匹前後で、4千頭を超えていた10年前から改善したが、保健所1カ所当たりの収容能力は十数匹で、一度に多くの犬猫を収容することは難しい。

 18年9月の胆振東部地震では、避難所に連れて行けないなどの理由で居場所を失ったペットが大量に発生し、道のみでは対応できず動物シェルターや動物病院など民間団体が約3千匹の犬猫を保護した。

 道外では19年の法改正後、全ての都府県が新設や既存の施設を転用する形でセンターを開設し、収容規模は50~150匹程度のものが多い。宮崎県は宮崎市と共同開設し、初期費用や運営費を効率化した。

 道内でも、ペットの保護や譲渡を行う動物管理センターを持つ札幌市は16年に動物愛護管理条例を制定し、飼育放棄の懸念に備えて多頭飼育の届け出制を導入した。18年には熊本地震(16年)などの教訓から「犬と猫の防災手帳」を作成し、災害時には北海道獣医師会など関係団体と連携して動物保護施設を運営すると周知している。

 ただ、道の動きは鈍く、昨年9月には道獣医師会がセンター設置を知事に要請。今年6月の道議会でも道議から「法改正から2年たってもセンターができる気配がない」と苦言が出た。

 設置が難航している原因の一つには、北海道の広大さがある。動物愛護団体などは道内各地で素早く保護業務を行えるようセンターを複数の地域に設置するよう求める。道もその必要性は認め、「関係団体と協議を続け、収容機能の確保についてさまざまな可能性を模索したい」(環境生活部)とするが、設置費は1カ所につき少なくとも数億円で、人員配置や運営費も生じるため足踏みしている。

 犬猫の保護・譲渡活動を行う認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会(空知管内長沼町)の上杉由希子代表は「災害時だけでなく、最近は新型コロナウイルス感染者のペット預かりも課題となり、緊急時に対応できる施設や体制の必要性が再認識された」とセンターの早期整備を求める。道獣医師会の高橋徹会長も「行政がしっかり予算を組み、リーダーシップをとってほしい」と訴えている。(佐藤海晟)

 <ことば>動物愛護管理センター 都道府県等が設置しペットの保護などを行う施設。大規模な収容施設を行政が直営することで、災害など一度に多くの保護を必要とする状況にも対応できる利点がある。2019年の改正動物愛護管理法で初めて条文に明記され、ペットの保護・譲渡や動物愛護の普及啓発のほか、研究目的などで危険動物を飼育する際の認可も行う。

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