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メガバンクの憂鬱

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社内LANを導入することによる効果を量的なデータで示せ。ネット社会黎明(れいめい)期の1990年代、こんな要請が企業の担当者を悩ませたそうだ。ある担当者は「電話導入の効果を量的に把握せよというのと同じことだ」と嘆いた▼三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、吉祥寺支店長などを務めた寺田欣司さんが自著で紹介していた。ネットワーク化は今や、どの業界でも必須インフラ。今昔の感を禁じ得ない▼システム障害が相次いでいるみずほ銀行などに対し、金融庁が業務改善命令を出した。保守や更新の作業計画を提出させ、金融庁が事実上管理する異例の処分だ。再発防止策決定後にも障害を繰り返しており、当局の焦りもうかがえる▼トラブルを巡っては専門的人材の育成や権限などの課題に加え、システム部門と業務部門の連携不足の指摘もある。体制に問題があるとすれば、経営陣や管理者の責任も問われる▼確かに経営の安定には経費節減も効果的。人件費も削減するネットワーク化は収益力強化に欠かせない。問題はそのシステムを生かす体制が整っているかだろう▼銀行業務は安全性重視の見地から経験豊富な上司の判断が優先されがちになるという。「指示待ち部下」を嘆く前に、後輩との公明正大な議論を心がけることが肝要だと寺田さんは説いた。若手や現場の声は届いているか。メガバンクに限らぬ憂鬱(ゆううつ)の種である。2021・9・25

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