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介護職員不足 待遇改善へ抜本策必要

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 厚生労働省は団塊の世代が全員75歳以上になる2025年度に介護職員が全国で約32万人不足するとの推計をまとめた。

 19年度の職員数約211万人と単純に比べたもので、高齢化がほぼピークを迎える40年度には不足は約69万人まで拡大する。

 現状でも高齢者増加に担い手の確保は追いついていない。このままでは事態はより深刻になる。

 今後、少子高齢化で介護サービスの需要はいっそう高まる。職員が足りなければ、安定した介護サービスも受けられなくなる。

 介護保険制度を揺るがしかねない問題だ。人材不足を解決しないことには制度の維持も危うい。

 介護職は激務で、人の命にかかわる仕事だけに精神的なストレスも大きいが、それに見合った待遇がなされていない。

 コロナ禍で利用者が減少し、感染対策の費用もかさむなどして苦境にある事業者もいる。

 政府は介護報酬の処遇改善加算などで賃金改善に取り組んできたが、職員の賃金は他産業と比べてなお低い。超高齢化社会を見据えた抜本的な対策が必要だ。

 介護職員は全体的に年々増えているが、非正規雇用が多く、離職者も少なくない。そのことで職員1人当たりの負担は増すなど労働環境の悪化を招いている。

 さらにコロナ禍で介護現場ではクラスター(感染者集団)が全国的に発生し、職員は感染リスクに身をさらしながら働いてきた。

 介護労働安定センター(東京)の20年度調査では、コロナ前に比べて「心理的負担が大きい」と答えた職員は6割に上った。

 介護従事者は暮らしの維持に必要不可欠な仕事を担う「エッセンシャルワーカー」の一角だ。社会的に果たしている役割はもっと高く評価されるべきだろう。

 労働負荷軽減のため、国はロボットやIT技術を使った介護用具などの助成を拡大すべきだ。

 資格を持ちながらも離職している「潜在介護福祉士」の現場復帰を支援する相談窓口設置や技術講習会のほか、外国人材の受け入れ環境整備なども求められる。

 待遇改善へ介護報酬を引き上げれば、40歳以上が納める介護保険料や利用者の自己負担は増す。負担を考えれば限界がある。

 保険料支払いの開始年齢を一定の所得のある人を対象に早めるよう求める声もある。持続可能な介護のあり方を再構築する時期に来ている。国は公費投入を含め国民的な議論を急ぐべきだ。

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